水泳は水中で行われる運動であるため,身体が水から受ける抵抗力や,四肢の動作によって発揮される推進力によって泳パフォーマンスが決定する.これまで,泳動作中の手部によって発揮される推進力は評価されてきたが,キック動作が推進力を発揮しているのか,さらには抵抗力増大の要因になるのか否か明らかにされていなかった.本研究では,圧力分布計測を用いた手部推進力の評価に加え,近年考案されたMRT法を用いて,全身に働く自己推進時抵抗を評価し,キック動作の間接的な評価を試みた.その結果,クロール泳においてキック動作が推進力を発揮するだけでなく,抵抗削減の役割も担っている可能性を明らかにすることができた.
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