研究課題/領域番号 |
20K11395
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研究機関 | 上武大学 |
研究代表者 |
柳澤 修 上武大学, ビジネス情報学部, 准教授 (50371159)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 野球 / 投手 / 肘内側側副靭帯 / 尺側手根屈筋 / 組織弾性率 / 超音波 |
研究実績の概要 |
肘関節障害に悩まされる野球投手は少なくなく,時には手術適応となることもあり,投手の肘関節障害の予防はスポーツ医学分野における喫緊の課題となっている.投球動作において,肘内側側副靭帯および尺側手根屈筋は,投球時の肘関節外反トルクに抵抗するために重要な役割を果たしている.それゆえ,両組織は繰り返す投球によって反復的なストレスに晒されていることが指摘されている.本研究は,超音波装置を用いて,投手の肘内側側副靭帯および尺側手根屈筋の硬さを定量的に評価し,日常的に繰り返す投球が両組織の弾性に与える影響を検証することを目的とした.肘の手術歴が無く,肘に痛みのない大学硬式野球部の投手16名(競技歴12.7±1.6年,投手歴6.8±2.9年)を対象とした.超音波診断装置に内蔵されたShear wave機能を用いて,肘内側側副靭帯および尺側手根屈筋の組織弾性率を投球側ならびに非投球側で計測した.測定肢位は,仰臥位,肩関節90度外転位,肘関節30度屈曲位・最大回外位とした.組織弾性率の計測は同部位で5回実施し,最大値と最低値を除いた中央3値の平均値を算出した.加えて,肘関節の機能を評価するために,投球側と非投球側における肘関節の伸展可動域と屈曲可動域を測定した.投球側と非投球側の組織弾性率および肘関節可動域の比較は,対応のあるT検定で行った(有意水準5%未満).肘関節の伸展可動域および屈曲可動域において,投球側と非投球側の間に有意差はなかった.加えて,肘内側側副靭帯および尺側手根屈筋の弾性率においても,投球側と非投球側で有意差は認められなかった.本研究の結果は,日常的に反復する投球動作が投球側の肘内側側副靭帯および尺側手根屈筋の硬さに影響しないことを示す.本研究において,両組織の硬さの観点から,投手の肘内側障害の発生メカニズムを解明する示唆は得られなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症の影響によって計画通りに研究を進めることが非常に難しかった.
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今後の研究の推進方策 |
コロナウイルスに対する感染対策を十分に施しながら,今後は骨格筋の硬さと筋機能(筋力や筋持久力)の関連性について検証を進めていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症対策としてアルコール消毒液を購入する予定であったが,現有のアルコール消毒液に余裕が生じたため購入を控えた.現有のアルコール消毒液に不足が生じた場合には,その購入費用に充てる予定である.
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