研究課題/領域番号 |
20K11398
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
中山 晴雄 東邦大学, 医学部, 講師 (10537377)
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研究分担者 |
藤田 聡 東邦大学, 医学部, 助教 (50819282)
平元 侑 東邦大学, 医学部, 助教 (80648832)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Virtual reality / 脳振盪 / めまい |
研究実績の概要 |
スポーツ関連脳振盪(SRC)後の「めまい」について、前庭動眼系や体性感覚系は客観的に評価する方法が存在する。一方、視覚系は明確な評価方法が確立されていない。本検討では仮想現実(VR)を用いることで従来明確にすることが出来なかった視覚系のSRC後の「めまい」への影響を明らかにすることを目的とした。2018年4月から2019年2月にスポーツ関連頭部外傷により東邦大学医療センター大橋病院脳神経外科を受診しSRCと診断された患者のうち、「めまい」症状を呈しておりVRを用いて視覚系の評価が行われ、28日以上の継続した評価が可能であった症例を抽出し(VR群: 18例)検討を行った。主な検討項目は、1.遷延性脳振盪症状の有無、2. VRを用いた症状再現性の有無である。 なお、後方視的に診療録から得られたVRを用いていない症例を既存対象群(HC群: 18例)として設定した。結果、HC群の全例が遷延性脳振盪症状を、VR群では13例に症状の再現性が確認され3例が遷延性脳振盪症状を呈していた。これにより、SRC後「めまい」症状には、 視覚系要素を含むものが一定数存在し、適切な治療介入がなされない場合、症状遷延に繋がる可能性が示唆された。21年度はこの18例に対してSRC後の「めまい」に関してVOMSが陽性である前庭系、VRが陽性である視覚系、Romberg試験が陽性の体性感覚系、混合系に識別し臨床病系分類を試みた。その結果、前庭系が5例、視覚系が2例、体性感覚系が1例、混合系が10例であった。本検討から、SRC後「めまい」には複数の臨床病系が存在し一定の範囲でVRがその評価に有用であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響でスポーツ活動全般が停止され、スポーツ外傷を受傷し来院される患者数が当初の見込みより減少している。また、医療機関の 実診療への影響から、外来診察の制限を受けた影響もあり、症例の確保が遅延傾向にある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、症例の獲得を進め、SRC後の「めまい」に関してVOMSが陽性である前庭系、VRが陽性である視覚系、Romberg試験が陽性の体性感覚系、混合系に識別し臨床病系分類を進める。その上で、それぞれの病系に併せてリハビリテーションの方法(Gaze Stability Exercise, habituation training, Balance training)を導入し、SRC後の「めまい」を2群間でBalance Error Scoring System の基準値までの回復日数の差異を明らかにすることで、SRC後の「めまい」に対する選択的リハビリテーション方法の開発を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響で、学会などの開催がwebとなり実移動が制限されたこともあり使用額に計画当初との差異が生じたため。令和4年度については、VRシステムの改修やバージョンアップが予定されていることや、国際学会もオフラインでの開催が予定されていることからこれらへの使用を計画している。
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