研究課題/領域番号 |
20K11406
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研究機関 | 環太平洋大学 |
研究代表者 |
廣重 陽介 環太平洋大学, 体育学部, 准教授 (10803695)
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研究分担者 |
和田 正信 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 教授 (80220961)
渡邊 大輝 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 助教 (30823281)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 微弱電流 / 伸張性収縮 / 筋疲労 / リカバリー |
研究実績の概要 |
微弱電流刺激(MENS)によるトリートメントは,筋疲労回復を促進されることが動物実験により示唆されている.しかし,ヒトの筋で同様の有効性が示されるかは不明である.本研究では,ヒトを対象に伸張性収縮(ECC)後の筋疲労回復にMENS処置が有効であるかを明らかにするために,前向き無作為化二重盲検化比較試験を実施した. 健康な成人男性15名を対象とし, MENS処置を施す群(T; n=8)群と施さない群(NT; n=7)群に無作為に分けた.すべての対象に筋疲労を誘発させる運動として肘関節屈筋群に対しECC運動を行わせた.T群にはECC負荷直後から6日後にかけてMENS処置を1日20分間施した.ECC運動の前,直後,1日後,3日後,6日後に,筋疲労および筋損傷の指標として,等尺性最大筋収縮力(MVC),筋収縮特性(Tc,Dm),筋の弾性(Strain Ratio),血液炎症マーカー(血清CK活性,血清LD活性),自覚的筋痛(VAS),肘関節可動域,上腕周囲径を測定した ECC運動前のMVCのトルクは群間において有意差は認められなかった.MVCトルクの経時的変化には有意な交互作用が認められた.運動後1日以降においてT群とNT群との間で有意な差が認められた.また,VASについても同様に,運動前の群間においては有意差が認められず,経時的変化において有意な交互作用が認められた.運動後3日以降においてT群とNT群との間で有意差が認められた. ECC運動後のMENSの実施は,筋疲労,遅発性筋痛の回復を促進することが可能であるため,高強度運動を行うアスリートのリカバリー手段として有効である可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍にておいて,被験者の確保および安全に実験を継続していくことに苦慮した部分もあったが,概ね予定通りの測定を実施できた.また,次の測定に向けた予備測定も開始できた. 加えて,測定結果をみても,ヒトを対象とした繰り返しの伸張性収縮後の筋疲労回復の促進,遅発性筋痛の回復促進に微弱電流刺激が貢献できる知見を見出すことができたことは順調な進展となった.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は,より実践的な高強度運動の継続により発生する筋疲労に対し,微弱電流刺激がその回復に有効であるか否かを検討したい.対象は陸上競技の短距離選手とし,実際のトレーニングモデル遂行に伴い発生する筋疲労を張力のモニターにより数値化し,それらが微弱電流刺激にて回復を促進するか否かを調査する。加えて,トレーニングにより加わる他の内的な負荷も経時的にモニターし微弱電流刺激の影響を同時にみていく. 2022年度からは研究環境が変わり,リソースの再整備は必要となる部分もあるが,共同研究者,協力研究者やその研究機関と連携し,研究を推進する.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により,学会参加による出張費の執行が少なかったため残額が生じた.2022年度については,研究組織が変わったことによる研究環境の整備,被検者の負担度も大きいことから謝金の設定,学会発表や共同研究者・協力研究者との打ち合わせによる出張,論文発表に係る費用など,残額は計画通りに支出し,研究成果を広く社会に還元する取り組みを推進する予定である.
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