研究課題/領域番号 |
20K11409
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
坂根 直樹 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究室長 (40335443)
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研究分担者 |
永井 成美 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (60364098)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 褐色脂肪組織 / ベージュ脂肪 / FDG-PET/CT法 / FDG-PET/CT法 / 超音波法 / サーモグラフィ法 / 極性脂質 |
研究実績の概要 |
脂肪組織は、脂肪を蓄積する白色脂肪組織(WAT)と脂肪を燃焼し、熱産生を行う褐色脂肪組織(BAT)に分類される。我々は動物実験で寒冷やβ3-アゴニスト投与でBATを活性化させ、体重減少や血糖値が改善し、さらにWAT中にUCP-1といったBATの特徴を持ったベージュ脂肪が出現することも確認している。このBAT/ベージュ脂肪の診断や測定には病理(生検法)、FDG-PET/CT法、近赤外時間分解分光法、MRI法、超音波法、赤外線サーモグラフィ法などがある。我々は若年者や小児における測定法として、近赤外時間分解分光法、超音波法、赤外線サーモグラフィ法などについて検討を加えた。BAT/ベージュ脂肪測定のゴールドスタンダードは、FDG-PET/CT法である。しかしFDG-PET/CT法はがんの画像診断に保険適応があるが、費用が高く、被曝を伴い、2時間の寒冷負荷刺激(19℃)が必要などの課題がある。BAT/ベージュ脂肪は室温が高いとほとんど検出されないのを利用して、通常のFDG-PET/CT法では寒冷暴露を避ける傾向がある。 一方、小児においてもがん患者しかFDG-PET/CT法の保険適用がなく、実施が難しい現状がある。それぞれの評価法の長所と短所から、小児においては超音波法と赤外線サーモグラフィ法選択することとし、基本的なデータを収集した。 ノックアウトマウスを用いた実験系で褐色脂肪細胞の体内時計が障害されると太りやすくなることが報告されていることから、時計遺伝子の測定系を確立した。また、ベージュ脂肪は夕よりも朝に活性化されやすいことを明らかにした。それらを踏まえて小児におけるベージュ脂肪の活性化方法については、寒冷下における運動(戸外による運動、特に朝)、薄着(寒冷暴露と共に、身体を温めるために自然と運動する)、快適温度内で低めの室温、充足した睡眠を獲得するプログラムの作成を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小児におけるベージュ脂肪の評価法(生検法、FDG-PET/CT法、近赤外時間分解分光法、MRI法、超音波法、赤外線サーモグラフィ法など)の長所と短所から、小児にでも測定可能な評価法を選択し、基本的なデータを収集することができたから。 寒冷によるベージュ脂肪の活性化には日内変動があり、夕より朝に寒冷暴露した方がベージュ脂肪が活性化されることがわかり、それらの情報も小児におけるベージュ脂肪の活性化方法に組み入れ、包括的なプログラムを作成することができたから。
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今後の研究の推進方策 |
妥当性のある小児におけるベージュ脂肪の評価法についての検討を加えると共に、作成された小児におけるベージュ脂肪を活性化させるプログラムの有効性について検討を加える予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度はCOVIDの為、旅費等の移動費の支出がなかったため、次年度に繰越こととなった。
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