研究課題
基盤研究(C)
本研究課題では、前腕屈筋・回内筋群の硬さが成長期野球肘発症の危険因子であるかどうかを前方視的に検討した。1年間の追跡が可能であった314名のうち、野球肘を発症したものは76名(24.2%)であった。多重ロジスティック回帰分析の結果、尺側手根屈筋の硬さの増大は成長期野球肘発症の危険因子であることが明らかとなった。成長期の野球選手において、尺側手根屈筋の硬さ評価は、野球肘発症の危険性が高い選手の抽出に役立つ可能性があり、野球肘を予防する上で有用な情報になると考えらる。
リハビリテーション科学関連,スポーツ科学関連
成長期野球肘を有する選手では、前腕屈筋・回内筋群の硬さが増大することが知られているが、野球肘発症と筋の硬さとの因果関係は不明であった。本研究結果より、尺側手根屈筋の硬さ増大は成長期野球肘発症の危険因子であることが明らかとなり、野球肘発症のメカニズムを解明するための一助になると考えられる。また尺側手根屈筋の硬さ評価は、成長期野球肘発症リスクが高い選手を把握する上で重要な指標となる可能性があり、本症を予防する上で非常に有用な知見であると考える。