研究課題/領域番号 |
20K11413
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
洪 性賛 筑波大学, 体育系, 助教 (10638547)
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研究分担者 |
浅井 武 筑波大学, 体育系, 教授 (00167868)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自転車 |
研究実績の概要 |
本研究では、スピードを最優先にする自転車競技を対象として、基本姿勢及び様々な姿勢変化(首の角度、両腕の位置,腰の角度など)が、競技パフォーマンスに及ぼす流体力学的メカニズムを明らかにすることで、プレーヤーの競技パフォーマンス向上を図る。そこで、自転車競技で最も頻繁に行われる基本的な姿勢を対象として、固定型マネキン・運動可能型フルスケールロボット、及び実際のプレーヤー用い、基本姿勢と姿勢変化(世界トップレベル選手の姿勢も含む)による空力変化を風洞実験で比較検討する。 そこで、初年度では、CFD方法と風洞実験を用いてサイクル選手回りの空気流れとその空気抵抗について検討した。特に、自転車用ウェアの生地の表面形状の違いが選手の空気抵抗へ及ぼす影響を中心に比較検討を行った。まず、CFDの結果から、レース中に先週の頭、腕、脚部に空気抵抗が大きくなることが分かった。風洞実験では、腕部に近いシリンダー模型を用いて、様々な生地の空気力を比較検討し、生地の表面形状によって空気抵抗が変わるのが分かった。マネキン実験では、自転車ウェアの腕部の生地形状を変えることによって、最大約8%の空気抵抗を減らすのを発見した。これらの結果から、選手が最大に走る最大速度と時間などのレース条件を考慮して、選手ごとに適切なウェアタイプの提供が可能になり、選手パフォーマンス向上に大きく貢献できると考えられる。 研究成果は、Hong, S. and Asai, T., Aerodynamics of Cycling Skinsuits Focused on the Surface Shape of the Arms. Appl. Sci. 2021, 11, 2200. でまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レース中の自転車と選手が受ける抵抗の90%が空気抵抗になり、そのうちの70%は選手の体にかかる抵抗であると報告されている。そのため、空気抵抗を減らす適切な選手の姿勢などについての研究は多く報告されてきた。しかし、選手が全身に着るウェアに関する研究は数少ない。特に、ウェア用生地の表面形状についての空力特性についてはまだまだ不明のままである。そのため、初年度では、CFD方法と風洞実験を用いてサイクル選手回りの空気流れとその空気抵抗について検討したので、計画通り順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度からは、PIV手法(粒子画像流速測定法)を用いて各姿勢における空気流れを可視化することで、各々の姿勢によるプレーヤー周りの剥離点変化(移動)や渦の生成・成長・崩壊などの空気流れを詳細に検討する。また、風洞実験と同様の条件(姿勢)に対してCFDのシミュレーション手法を用い、各姿勢における空気流れ(剥離点の変化(移動)や渦の生成・成長・崩壊など)を3次元で比較検討する。可視化実験から得られた結果は、風洞実験からの結果と比較検討することで、自転車選手の姿勢変化が選手周りの空気流れに及ぼす影響と選手に当たる空力特性へのメカニズムを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ渦のため、計画していた学会発表や出張が出来なかった。今年は、実験結果の発信として論文の英文校正などに使用する計画である。
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