研究課題/領域番号 |
20K11416
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
鈴木 明哲 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (70252947)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 戦後 / オーストリア / スポーツ / 元ナチス |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き今年度もCOVID-19の影響により渡航ができなかったため、在オーストリア資料の収集が全くできなかった。しかしながら昨年度、現在手元にある資料を通覧し、本研究課題に関連した記述を探し出した結果、元ナチスであったオーストリアの体育・スポーツ関係者を7名見出すことができた。今年度はこの7名のうち、2名についてさらに詳細に資料を読み込み、加えてインターネットから収集可能な在オーストリア資料にアクセスしながら、不完全ではあるが実証と考察を試みた。その結果、2名について以下のようなことが明らかとなった。 まず一人目の人物は、水泳のオーストリアチャンピオンであったパウカールである。資料によると彼は、ナチス親衛隊少佐であったリンナーの脅迫に説き伏せられ、不本意ながらナチスの党員となったことを告白していた。軍務にもついていたが、それはドイツ国防軍将兵としてであり、決してナチスの武装親衛隊ではなかったことも告白していた。さらに彼については、チロル州のエルマウという小村でナチスへの抵抗運動に参加していたことが当村の抵抗運動指導者からの証言として報告され、またかつての恩師も彼がナチスではないことを証言していた。 さらにもう一人の人物は、カヤックのオーストリアチャンピオンであったリッツシュタイガーである。彼はナチスの党員であっただけでなく、ナチス親衛隊の一員でもあり、この事実が戦後における彼のカヤック選手としての活動の妨げとなっており、特に国外への選手派遣に際して大きな足かせとなっていた。このような彼の過去を清算しようとオーストリア・パドルスポーツ連盟は、連邦教育省に度々請願を行っていたことが判明した。そしてこの背後には、同連盟が1948年のオリンピック・ロンドン大会に是が非でも彼を参加させようとしてナチスに関与していた過去を消し去ろうとしていたことが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19の影響により、ヨーロッパへの渡航が禁止されていたため、研究遂行上必要とされる資料の収集作業が全くできなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
ヨーロッパへの渡航中止勧告が徐々に緩和されつつあるので、今年度中に最低2回の渡航を敢行し、予備調査を終了させておきたい。2023年度が最終年度であるが、さらに1年間の研究期間延長を申請する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19により、ヨーロッパへの渡航ができなかったために、旅費の使用額が0円であった。翌年度分と合算すると、およそ116万円となるが研究期間を1年間延長することにより対処していく予定である。
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