研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は,持久的運動効果の減弱化について,冷却刺激に着目して検討することであった.Wistarラットを常温群と冷却群にわけ,前脛骨筋を局所的に冷やしながら電気刺激による筋収縮をおこなった.その結果,冷却により,筋収縮による筋グリコーゲンの分解やAMPKのリン酸化の増加が抑制された.それに伴い,PGC-1aのmRNA発現量の増加も抑制された.このことから,冷却は高強度の収縮量や代謝応答を減弱させることで,筋収縮によるミトコンドリア生合成を抑制する可能性が考えられた.
運動生理生化学
本研究から,持久運動によって引き起こされるミトコンドリア生合成の分子メカニズムが冷却によって抑制されることが示唆された.このことは,運動前や運動中の筋温が運動効果に影響を与える可能性を示している.したがって,衣類による体温の調節や環境による筋温の変化に対する対応,適切なウォーミングアップなどが効率的なトレーニングの効果の獲得に重要であることを示唆している.