研究課題/領域番号 |
20K11418
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
村田 真一 静岡大学, 地域創造学環, 准教授 (20435093)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 地域住民 / スポーツ活動 / スポーツ生活 / ソーシャルキャピタル / 地域意識 / 生活満足度 / スポーツ価値意識 |
研究実績の概要 |
本研究の主要目的は、我が国において地域スポーツクラブがなぜ定着に至らないかの要因について、従来のようなマネジメント的要因に求めるのではなく、社会・文化的要因に着目し明らかにするものである。その社会・文化的要因を具体的に説くと、住民の価値意識や地域への見方となる。そのため、本年度は大きく2つの調査・研究に着手した。一つは、当該地域住民のスポーツ活動と地域満足度(ソーシャルキャピタル、地域意識、生活満足度)の関係性に関する調査・研究(①住民調査)であり、二つ目は、当事者(本年度は大学生)のスポーツ価値意識とスポーツ生活の関連性に関する調査・研究(②スポーツ価値意識調査)であった。ここでは紙面の制限から、①住民調査に限定して記載する。 地域住民のスポーツ活動と地域満足度の関係性に関する調査・研究では、その対象をA県B市(政令市)のC地区(全世帯約3000戸、全住民約10000人)とした。C地区の連合自治会に加入している2809世帯に対し、1世帯最大2票を配布・回収する形式での質問紙調査を実施した結果、3478の有効回答票を得た。主要な結果は以下の4点であった。第1に、C地区住民のスポーツ活動状況は未だ十分な水準に至っていないことがわかり、大まかに「未実施群」「個人的実施群」「組織的実施群」に分類された。第2に、ソーシャルキャピタルについては「地区内絆」「地区外絆」「社会参加」の3因子を導くことができた。第3に、地域満足度概念に係るすべての項目間において有意な相関がみられた。第4に、スポーツ活動3群別に生活満足度に関する差異を検証した結果、組織的に運動を行っている群が有意に高い結果となった。このことから、スポーツ活動と地域満足度には、何らかの関連性があることが窺われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題の対象は、地域スポーツクラブの中でも「総合型地域スポーツクラブ」を想定している。しかしながら、今次のコロナ禍により、現場(事例にふさわしい「総合型クラブ」)でのフィールドワークが実現せず、アプローチできずにいる。したがって、今次の状況下でも出来る範囲でのフィールド(代表者が勤務する地区に近いC地区(住民)や大学生)に限定した実証研究となっている。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、事例選定先に根拠をもたらすために、総合型クラブの定着度に関する全国調査を実施する。コロナ問題も落ちついてきているこの時期に、早急に着手する予定である(質問紙はほぼ完成)。一方で、ある程度、事例地を見込んでいることから、並行して、2021年度の2つの調査・研究によって得られた概念的知見を基に、事例地の住民の文化的様相(ソーシャルキャピタル・地域意識・生活満足度、スポーツ価値意識)を把握し、それとクラブ定着との関係性についてフィールドワークを試みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
ここ2年間のコロナ禍の影響により、現地でのフィールドワークや面接調査が出来ずにいる。したがって、「旅費」は未だに支出0となっている。また、学会大会もオンラインであったために計上していない。したがってその分の繰り越しが多分となっている。併せて、大量サーベイ(全国の総合型クラブへの質問紙調査)の郵券代として使用予定がある。
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