研究課題/領域番号 |
20K11419
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
野村 照夫 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 教授 (60189438)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高飛込 / 背景減算 / 画像回転 / 演技追跡 / 姿勢推定 |
研究実績の概要 |
目的:高飛込画像の前処理工夫で、演技の追跡と姿勢推定の検出力を向上させることを目的とした。 方法:FINA Diving World Series 2018の10m高飛込を対象とした。飛込台上から入水までの演技を撮影した。 ビデオカメラを縦置で撮影した (1080×1920 px、59.94 fps、SO: 原動画)。演技範囲をSOから切り出した (CL:切り出し動画、300×1200px)。入水終了時フレームを背景画像として CL から抽出した(BS:背景減算動画)。 プログラムはOpenCV4.5.3の機能であるDaSiamPRNトラッカーを利用してPythonで自作した。 ダイバーの胴体を最初の画面で境界ボックスとして指定し、胴体を追跡した。 BSフレームから検出した胴体の中心座標を基にCLの100×300pxの動画を抽出した。 各フレームを1度ごとに360度回転させた300×300ピクセルの動画(RO:回転動画)を作成した。 姿勢推定アプリケーション (Vision Pose、Next-System) を使用して、30 のキー ポイントで姿勢を推定した。 結果:胴体の追跡データは、CL よりも BS の方が改善された。 プラットフォームからの離陸と水への進入の間、BS は手動追跡の股関節座標値と非常に高い相関 (r>0.967) を示した。 SO、CL、BS の姿勢推定では多くのデータ不足が観察された。 一方、ROでは65541ポーズが推定された。 回転前のフレームに逆変換したメディアン座標を代表値として使用することで、安定した推定値が得られた。 考察:高飛込のパフォーマンス解析において、背景減算を用いた身体追跡で、ダイビング軌跡が捉えられた。 ただし、より細かい手足の動きを推定するには、動画回転にて姿勢推定できる角度を見つけることが適切であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
手作業による映像のデジタル化には膨大な時間がかかるため、選手の動きの追跡や姿勢推定にAIを活用することが有益と考えられる。 しかし、AIを適用する場合にはいくつかの問題がある。 汎用の姿勢推定アプリケーションは基本的に立ち動作が想定されている。 競技会では、競技役員や観客が背景に映り込み、選手の追跡やポーズの推定に問題が生じる場合がある。 そこで本研究では、画像の前処理を工夫することで、高飛込における演技の追跡と姿勢推定の検出力を向上させることに挑み、一定の成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
高飛込におけるAIを活用した解析の工夫に関する論文を完成させる。 オントロジーに基づく水泳指導における実践知のオントロジー的集約を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延により、国際学会が延期され、2023年に開催されることになった。その参加と論文投稿を予定している。
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