研究実績の概要 |
2022年度は以下の2点について解析した。 1)SGLT2阻害薬を服用しているにも関わらず血糖管理未達成(HbA1c7%以上)の患者が運動や身体活動の習慣を持った際の併用効果(1年間の縦断的解析)。運動習慣を併用した患者(n=96)におけるHbA1cの減少量は、運動習慣を併用しなかった患者(n=1,219)と比較して大きかった(-0.34 vs. -0.16%, p=0.036)。しかし、HbA1c7%未満達成率および交絡因子を調整したオッズ比においては、有意な差は観察されなかった。また、身体活動を併用した患者(n=181)においては、身体活動を併用していない患者と比較して(n=1,134)、HbA1cの減少量、血糖管理率、交絡因子を調整したオッズ比のいずれにおいても有意な差は観察されなかった。 2)運動や身体活動の習慣があるにも関わらず血糖管理未達成(HbA1c7%以上)の患者がSGLT2阻害薬を服用した際の併用効果(1年間の縦断的解析)。SGLT2阻害薬服用患者(n=369)におけるHbA1cの減少量は非服用患者(n=2,576)と比較して大きかった(-0.89 vs. -0.18%, p<0.001)。また、SGLT2阻害薬服用患者におけるHbA1c7%未満の達成率は34.7%であり、非服用患者の達成率24.3%と比較して有意に高かった(P<0.001)。交絡因子を調整した結果、SGLT2阻害薬服用患者のHbA1c7%未満達成のオッズ比は1.73(95%信頼区間:1.34‐2.22)と非服用患者と比較して有意に高かった。 これらの結果から、運動や身体活動の習慣があるにも関わらす血糖不良患者において、SGLT2阻害薬による治療は血糖管理を向上させることが示唆された。
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