研究課題/領域番号 |
20K11429
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
三上 俊夫 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60199966)
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研究分担者 |
金 芝美 日本医科大学, 大学院医学研究科, ポストドクター (00868177)
朴 ジョンヒョク 日本医科大学, 大学院医学研究科, ポストドクター (80835843)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 運動 / NAD / eNAMPT / 認知機能 |
研究実績の概要 |
「目的」 本年度は,本来,脂肪細胞を用いたin vitro実験により脂肪細胞からのNicotinamide phosphoribosyltransferase(NAMPT)放出と,それに対する運動の影響を検討する予定であったが,この実験を行うための実験方法が確立できていなかったため,研究計画を変更して研究の3年目に行う予定であった加齢マウスに継続的な運動トレーニングを負荷した際の認知機能の変化について検討した.90週齢以上の加齢マウスに4週間,回転ケージでの自由運動を行わせ,その後に認知機能を測定する行動試験(新規物体認識試験,恐怖条件 付け試験,Y迷路試験)を行った.この際,運動群および安静群ともにNAD合成サルベージ経路の主要酵素であるNAMPTの阻害剤であるFK866の投与マウスと無投与マウスを作成して比較した. 「結果」 定期的な運動負荷は加齢による認知機能,特に作業記憶能力の低下を抑制したたが,FK866投与により運動の予防効果は消失した.この時,この加齢マウスでは海馬のミクログリア細胞の著しい活性化が起こったが,定期的運動はこのミクログリアの活性化を抑制し,FK866投与は運動によるミクログリア活性化の抑制効果を消失させた.また,脳内のNAD量は加齢により低下し,定期的な運動がこの低下を抑制したが,FK866投与は運動によるNAD回復を抑制しなかった. 「まとめ」 前述の結果より,加齢マウスに対する定期的な運動は,加齢による脳内NAD低下を抑制し,脳内ミクログリアの活性化を抑制することにより加齢による認知機能の低下を予防することが示されたが,運動による認知機能の改善と脳内NAD量の変化の間には関係性を見いだせなかった.来年度は本来,今年度に行う予定であった脂肪細胞からのNAMPT放出に与える運動の影響に関する検討も再度試みる予定である
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来,今年度に行う予定であった,脂肪細胞からのeNAMPT放出に対する運動の影響を調べる実験方法が確立できていなかったため,本来は3年目に行う予定であった,加齢マウスを用いた行動実験をおこなった.
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今後の研究の推進方策 |
現時点では,脂肪脂肪を用いたeNAMPT放出を検討する実験方法に関しての準備ができたため,次年度でこの実験を行い,申請した研究課題が完了できるようにする.
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