研究課題/領域番号 |
20K11430
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
池田 祐介 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 准教授 (10455446)
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研究分担者 |
下山 好充 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (20375364)
市川 浩 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (20375463)
馬場 康博 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (50592614)
奈良 梨央 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 助教 (70708148)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | スポーツバイオメカニクス / 水泳 |
研究実績の概要 |
スポーツの技術指導において重要になるのは、過去の知見や様々なツールを活用して技術改善のための具体的な指導法を確立させることである。競泳におけるスタートとターン後の潜水泳として用いられる水中ドルフィンキックについては、泳速度と動作の関係が明らかになっておらず、技術改善の方法についても示されていない。そこで本研究の目的は、泳速度と動作の関係を明らかにするとともに、技術トレーニングとして用いられているドルフィンキック模擬動作に着目し、技術改善のためのトレーニング法を開発する。 2020年度は日本一流選手を含む男子競泳選手9名を対象に、ドルフィンキックの動作と泳速度との関係ついて検討した。分析の結果、泳速度の大きい選手は加速局面と減速局面において矢状面での下胴(肋骨下端と大転子を結んだ線分)の角度変位が大きいことが明らかになった。また、下胴の角度変位は大腿部と下腿部の変位と相関関係がみられ、下胴の角度変位が大きいほど推進力を生み出す下腿部の変位も大きいことが示唆された。この結果は海外の学術誌に投稿し、採択されている。さらに、同被験者を対象にフィン着用による動作の変化について検討した。フィンの着用により泳速度は大きくなるが、キック頻度および下肢関節の角度変位は有意に小さくなることが明らかになった。また、下肢の動作学的変数と柔軟性との関係について調べると、柔軟性の低い選手ほどフィン着用時に下胴の角度変位が大きくなることを明らかにした。この研究結果については、海外の学術誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
水中ドルフィンキックにおける泳速度と動作の関係については、これまで明らかになっていなかったが、我々の研究により加速局面と減速局面における下胴の動きが重要になることが示唆された。また、フィン着用による動きの変化を調べた研究においても、一流選手の下胴の動きの大きさに違いはみられなかったが、競技レベルの低い選手ではフィン着用により、下胴が大きく動くなることが明らかとなった。投稿中の論文についても採択される見込みであり、我々の2本の原著論文から得られた知見を元に今後の研究を発展させることができる。
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今後の研究の推進方策 |
下胴と下肢の動きに着目したドルフィンキック模擬動作について、動作解析を進める。ドルフィンキックに特化した模擬動作によるトレーニング法は開発されておらず、陸上動作と水中動作の相違点を明らかにする。また、模擬動作における動作変化が水中のドルフィンキックの動作にどのように転移し、どこが変化しにくいのかを明らかにすることで、より効果的な技術トレーニングの処方について議論を発展させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外、国内の学会が中止となったため、旅費の支出が少なくなった。
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