本研究は、手のひらへのアイシングによって投球障害が予防できるか検証することを目的とした。実験的な測定では、手のひらを冷やすことで負荷をかけた後の肩の可動域制限や筋力低下を防止することが確認できた。さらに実際の野球の現場で大学野球選手を対象に介入研究を行った夏場の2ヶ月間、練習の後に手のひらのアイシングを実施させた。肩や肘の張りや痛みが軽減される選手も一定の割合でみられた。また、肩への直接的効果ではないが、熱中症予防や疲労対策に効果があったと感じる選手が約6割にのぼった。疲労軽減など全身のコンディションが維持されることで、投球障害を間接的に予防する効果も期待できる。
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