研究課題/領域番号 |
20K11438
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
長谷川 聖修 筑波大学, 体育系, 教授 (10147126)
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研究分担者 |
堀口 文 筑波大学, 体育系, 特任助教 (30830161)
檜皮 貴子 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (50463948)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | カーソル操作 / 座位姿勢 / 姿勢固定 |
研究実績の概要 |
日本人の座位時間は世界各国の中で最も長く(Andrian et al.,2011)、特にオフィスワーカーの座りすぎ問題が多く取り上げられてきた。その解決策として立ち机といったオフィスの動的な環境づくりがなされているが、実施される身体活動と作業との関連性はほとんどない。それ故、身体活動と PC 作業を関連させるために空間軸の方向に反応する IC チップ(ボディマウス)を開発し、これを腰部に装着することで、身体活動を伴うカーソル操作を試みた。 そこで、 大学生12名を対象として、ボディマウス装置を用いたPC 作業について、一定の練習課題よる作業時間を測定し、本装置による作業に対する内省調査を行い、ボディマウス装置による PC 作業習熟の可能性と課題を検討した。 結果は、全被験者のボディマウスによる課題達成時間の平均値について、1回目は145.3±43.4 秒、2回目は97.8±33.8 秒、3回目は66.9±29.6 秒であった。分散分析の結果、一定の練習課題より作業時間が有意に減少する傾向が示された(F(2,22)=21.29,p<.01)。また、「操作が楽しかったか」という質問に対して、「とてもそう思う」が4 名(34%)、「そう思う」が6 名(50%)を占め、高い興味度も示された。しかし、日常的に利用したいと感じた者は少なかった。これはオフィスワークのような複雑な操作において、ボディマウス装置での対応が困難であると感じたためだと考えられる。身体活動とPC 作業を関連させたボディマウスは、座りすぎへの解決策になると同時に、啓蒙的な役割を果たすことが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度の計画は、装置の試作・改善と課題内容の検討であった。そこで、IC チップ(ボディマウス)を開発し、試作品を作成したことは大きな成果と言える。また、カーソルの操作性について習熟度を計測する方法についても検討できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策については、以下の3点から進める計画である。 1)カーソル移動を感知するIC チップ、クリック作業を行うフットスイッチ、繊細な腰部の動きを引き出すバランス・カウンターチェアを組み合わせたボディ・マウスセットの連動を検討する。特に、全身運動によるマウス操作を可能な限り容易に出来るようにするため、ICチップは、カーソル移動のX軸・Y軸速度をその都度、微調整できるように改善する。被験者による操作性の個人差をできるだけ小さくする。 2)作業の習熟度を示す課題をより詳細に分析できるように、多面的な作業課題の選定、画面録画による質的な動作精度の分析を行い、ボディ・マウスの操作実態についての基本的な傾向を明らかにする。これを基づいて、より効率的な操作方法を検討する。 3)被験者に対して、本装置の使用感など内省についてインタビュー形式で調査して、装置のインターフェイスについて改善を図る。
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