「座りすぎ」で様々な健康問題が生じているオフィスワーク。PC作業中の姿勢固定化を予防する方法として、通常のマウスを用いずに、PCのカーソルを腰部動作で操作し、マウスクリックを足部で行うBody Mouse System(以下BMSとする)を考案・試作した。 これまで、BMSを用いたPC作業の習熟度について、初心者を対象に数分程度の課題を実践させ、その習得状況を明らかにしてきた。その結果、短時間での取り組みでは、腰部によるカーソル操作の難易度は高く、その動作を習熟させることは困難であった。 そこで、最終年度においては、BMSを用いたPC作業を7日間の任意の時間で実施させた。対象者(大学生・院生5名)は、全員BMSにおけるPC操作の経験者であった。1日に1回以上、pcのカーソル・クリック操作に関する練習課題に取り組み、その最高点(50点満点)を記録した。当初の得点の平均値は39.0±6.40点であったが、7日目の得点は5名中4名が満点で、平均値は49.7±0.89点と上昇した。また、1日当たりのBMSによるPC作業の平均時間は32.6±23.4分であった。個人差等は大きいものの、1日30分を目安に、1週間BMSを用いることで、通常の操作水準に近い程度まで向上する傾向が明らかになった。 この研究成果については、日本体操学会の第22回学会大会で発表し、関係の研究者と意見交換を行った。その中で、ICチップを操作する腰回りの運動課題だけでなく、クリック動作を行っている足部の運動についても操作性の向上を検討する必要性が明らかになった。
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