研究課題/領域番号 |
20K11443
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
木村 岳裕 金沢大学, GS教育系, 准教授 (50632254)
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研究分担者 |
門田 宏 高知工科大学, 情報学群, 准教授 (00415366)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 経頭蓋磁気刺激 / 運動協調性 / 身体運動制御 |
研究実績の概要 |
近年、ヒトを対象とした実験研究において再現性の低さが問題視されている。また、申請者が確認している運動を起因とする神経抑制性作用は、神経特性や機能的意義について明らかにする必要がある。2020年度に行った研究課題は、申請者がこれまでに確認している「運動を起因とする神経抑制性作用」の(1)運動経験者における調査、(2)同一実験参加者における再現性検証、(3)局所的な運動性疲労による影響の調査を行った。 (1)11名の大学の運動部に所属する学生を対象として、運動を起因とする神経抑制性作用を確認した結果、これまでに取得した一般実験参加者のデータと比較して抑制性作用は減弱していた。申請者が確認している抑制性作用は運動経験者において脱抑制することが示唆される。 (2)11名の実験参加者を対象として、日を変えて2回計測を実施することで申請者が確認している神経抑制性作用の再現性について検証した。11名中8名は2回のうち1回抑制性作用が確認され、2回とも抑制性作用が確認できたのは11名中6名であった。また11名中3名は抑制性作用が確認できなかった。 (3)実験参加者を(2)において抑制性作用群6名と促通性作用群3名に分け、局所的な運動性疲労が神経抑制性作用に対して影響を及ぼすかを検証した。運動課題は、40 % MVC強度の肘関節屈曲による等尺性運動を課し、上腕二頭筋を疲労困憊に至らせ、疲労の前後で神経抑制性作用の変化を計測した。その結果、抑制性作用群では運動直後に脱抑制傾向を示し、促通性作用群では脱促通傾向を示した。 (1)~(3)の実験系から申請者の確認している運動を起因とする神経抑制性作用は、個人内での再現性は高いが、運動経験や疲労を伴う運動課題によって脱抑制等の調整がされることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染拡大状況によって、ヒトを対象とした実験研究の実施に制約が生じる。申請時に計画していた県外の共同研究先における実験は中止して、自身の研究室における実験のみを進めている状況である。独立基盤形成支援での研究経費を利用した実験環境の整備を中心に進めると共に、実験参加者を募集してのデータ収集は感染状況に応じて進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度においても県外の共同研究先における実験実施は制約が生じる見込みであり、所属研究機関においてのみデータ収集を進める形になる。そのため、本研究課題である「運動を起因とする神経抑制性作用」の調査においてはMRI装置を用いた脳活動動態計測や二連発TMS装置による神経生理学的な実験系でのデータ収集は2022年度以降再計画する。 2021年度は運動性疲労による抑制性作用の変調や、抑制性作用と運動巧緻性の関係性など行動学実験にシフトする形での研究遂行を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年10月20日に変更交付決定(基盤研究(C)における独立基盤形成支援(試行))があり、物品費として追加配分された経費は次年度以降に執行する計画である。
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