研究課題/領域番号 |
20K11447
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
坂本 将基 熊本大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (80454073)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 剣道 / 有効打突 / 眼球運動測定 |
研究実績の概要 |
学校現場では,武道の経験がない教員が武道の授業や部活動を担当することがある.武道のなかでも剣道は技(打突)が非常に素早いため,剣道の経験がない教員には打突の有効性の判断が難しい.さらに,これらの教員は日々の業務に追われ,剣道の専門的指導力を身に付けるための時間的余裕がない.したがって,剣道未経験の教員に対して,打突の有効性の判断能力を向上させる効果的な方法の開発が必要である.剣道熟練者は打突の有効性を主に視覚情報から判断していると考えられるが,彼らが実際にどこを見ているのかについて詳細に調べた研究はすくない.そこで本研究では,①剣道熟練者が打突の有効性を判断する際に特定の視線パターンが認められるのか,②剣道初心者が熟練者の視線パターンを模倣することで有効打突の判断能力が向上するのか,を明らかにすることを目的とする. 今年度は剣道熟練者が打突の有効性を判断するときに特有の視線パターンが存在するのかについて検討した.被験者は剣道経験者群と未経験者群であった.彼らに眼前のモニター上に映る試技を観察させた.試技は剣道経験のある2名で行われ、1名を打突者,もう1名を被打突者とした.被験者は眼球運動測定装置を装着し、モニターに映し出される試技の有効打突の判定を行った。 打突前900msから300msまでの局面では,両群ともに打突者の竹刀に視線を置く割合が高かった.しかし,打突前300msから打突直前の局面では,未経験者群は依然として打突者の竹刀を見続ける傾向があるが,経験者群は視線の置き場を打突者の竹刀から被打突者の身体(打突部位)へ切り替える傾向があることが明らかになった.打突直前における打突部位への視線配置は熟練者の優れた予測的な視線移動を反映しており,これが有効打突の正確な判断に関係しているものと考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響により,実験の開始が大幅に遅れた.それに伴い,記録したデータが詳細に解析できていない.
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今後の研究の推進方策 |
今年度得たデータを詳細に解析し,剣道の有効打突の判断における剣道経験者に特有の視線パターンを明らかにする.また,当初の計画通り,剣道未経験者が剣道経験者の視線配置を模倣することで,打突の判断能力が向上するのか否かを検討する.さらに,得られた成果を関連学会で発表したのち,国内雑誌に投稿する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により研究の進捗が遅れた結果,当初計画していたよりも少ない予算の執行となった.次年度に繰り越した金額は,論文掲載料などに充てる予定である.
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