研究課題/領域番号 |
20K11450
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
鈴木 宏哉 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 先任准教授 (60412376)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | フィジカル・リテラシー / システマティックレビュー / フィットネストレンド |
研究実績の概要 |
本研究において中心に据えるのは、フィジカル・リテラシーという概念である。この概念は生涯を通じて身体活動に従事するためにその価値や対策を講じるための身体能力、知識・理解、モチベーションと自信と定義されることがあるが(Tremblay et al., 2018)、これはまさに、保健体育が目標とする資質・能力であるといえる。その概念や測定方法(体力測定、活動量計測、質問紙など)については国際的に未だ統一されていない。フィジカル・リテラシーの概念は1990年代に既に示されていたが、その背景にあったのは体育プログラムの目指す目標とその検証方法のギャップにあったといえる(Tremblay & Lloyd, 2010)。すなわち、体力テスト結果の優劣だけをアウトカムとする研究成果は、身体活動に関する知識・理解や身体活動の日常化・継続などを含む学びを行う体育プログラムの一部分を説明しているに過ぎない。根拠に基づく体育プログラムの改善や政策提言のためには、体育プログラムの現場における評価や研究の効果検証を行う際に、そのプログラムが目標としたことを満遍なく評価できる尺度が求められる。 研究初年度の2020年度は、フィジカル・リテラシーの国際的研究レビューと日本における子どもの体力の実態の把握に取り組んだ。システマティックレビューを行うにあたり、PROSPERO registration(ID: CRD42020208399)を行った。本研究のシステマティックレビューの詳細は登録情報を参照されたい。スクリーニングの結果、134件の英語論文が採用され、現在精読を進めているところである。109件(81.3%)が2018年以降の論文であり、フィジカル・リテラシーの研究が近年増加していることが分かった。体力の実態については、過去30年間の体力トレンドや運動習慣によるトレンドの違いについて明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画では、システマティックレビューと並行して、次年度の現地調査の事前準備を進めたかったが、COVID-19の影響により教育現場に足を運ぶことができなかったため、打合せ等が思うように進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、現在進めているシステマティックレビューを論文化すること、そして、学校教員を対象にヒアリングと予備調査を行い、既存の体力テストに代わる新しいコンセプトとして「フィジカル・リテラシー」をどのように測定評価すべきかを検討する。2022年度はシステマティックレビューと予備調査の知見を基に、尺度開発を行い、2023年度までには尺度検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会の中止や開催方法の変更により、出張の機会がなかったため。
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