研究実績の概要 |
2023年度には、65歳以上の高齢者45名(介入群22名、対照群23名)を対象に、座位時間の減少を目的とした約6か月間のランダム化比較対照試験を実施した。介入群には、身体活動量の増加と座位時間の減少を目指した介入を行い、対照群には身体活動量の増加のみを目指した介入を実施した。具体的には、リーフレットを配布し、身体活動不足や長時間の座位行動の健康への悪影響に関する知識提供を行うとともに、日常生活で身体活動を活性化させ、座位時間を減らす方法に関する情報を提供した(座位行動に関する情報提供は介入群のみに提供)。同時に、身体活動量の増加と座位時間の減少を目的とした目標設定、行動計画、セルフモニタリングなどの行動変容技法を取り入れたワークシートを参加者に配布し、身体活動量の増加と座位時間の減少を促した(座位行動に関するワークシートは介入群のみに配布)。介入前後の対象者の身体活動量と座位時間は、質問紙調査票(対象45名)と活動量計(対象33名)で評価した。分析の結果、介入前後で、介入群の調査票および活動量計で測定された座位時間の減少が認められたが、介入群と対照群に間で、統計学的有意な差は認められなかった。 研究期間全体を通じた研究成果としては、高齢者の座位行動と健康指標の関連や高齢者の座りすぎ対策などをまとめた総説論文を2本発表した(ストレングス&コンディショニングジャーナル,2021;ストレス科学研究,2022)。また、成人と高齢者の座位行動と幸福感の関連(Innovation in Aging, 2021)、中高齢者の座位行動と睡眠の関連(Scientific Reports, 2023)、虚弱高齢者の座位行動と抑うつの関連(体力科学,2022)、高齢者を含む日本人地域住民の身体活動及び座位行動の実態(運動疫学研究,2022)、環境と座位行動の関連(PLOS ONE,2022)などの研究を推進し、国内外の学術雑誌に研究成果を発表した。
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