研究課題
研究代表者については次の2件の研究的取り組みを行った。第1は、埼玉大学教育実践フォーラムでの発表である。ここでは、まずDCD(発達性協調運動障害)と運動不振の関係性の整理を行った。石隈(1999)の3段階の援助サービスの考えを適用し、体育指導においては、1次的援助サービスはクラスの全ての子どもが対象、2次的援助サービスは運動不振が対象、3次的援助サービスはDCDの子どもが対象となると整理した。次に、DCDの改善に効果があるといわれている課題指向的アプローチの1つであるCO-OPアプローチを紹介し、学校体育授業への適用のあり方を論じた。第2は、桶川子ども大学での取り組みである。小学生5名を対象に、CO-OPアプローチをベースとした運動・スポーツの苦手克服に向けた講習会を開き、これまでの研究成果を応用して実践を行った。本研究課題の分担者は6名いるが、紙幅の関係上,ここでは陸上運動担当の有川秀之の成果を以下に示す。ハードル走は、足をハードルにぶつけた時の痛さ、ハードルの高さへの怖さなどによって、ハードリングだけでなくインターバルが上手く走れないなど、苦手な児童・生徒は少なくない。そこで、今年度は先に述べた課題指向的アプローチの考え方を適用し、小学校第5学年の31名を対象に、実際にハードル走の授業を行い、その効果を検討した。その結果、次の3点が明らかとなった。①ハードルバーを痛くない物にすることによって、足をハードルにぶつけた時の痛さ、ハードルの高さへの怖さなどに関する記述は全く見られなくなった。②学習者はハードルだけをリズミカルに走り超えることではなく、インターバル間も含めてハードル走を学習した。③ハードル走で歩数が3歩以外の児童は、リード足が左右交互なってもリズムを大切にしたり、インターバルを3歩でなく5歩でも走れたりすることを理解し、ハードル走をできるようになった。
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埼玉大学紀要(教育学部)
巻: 73(1) ページ: 81-94
巻: 73(2) ページ: -