研究課題/領域番号 |
20K11461
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
吉田 伊津美 東京学芸大学, 教育学研究科, 教授 (30335955)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 運動遊び / 多様な動き / 幼保小接続 / 養成課程 / 体育 |
研究実績の概要 |
令和5(2023)年度は、前年度までに実施した質問紙調査を再分析し、幼稚園等の保育者と小学校教諭の運動遊び指導に関する相違の有無を明らかにした。「実際の運動遊び指導」は、第Ⅰ因子「(動きを引き出す)環境の構成・教材の工夫」(子どもが主体的に活動できる環境の構成に関する内容)、第Ⅱ因子「子どもの自己決定重視」(子どもの発想、子どもの自己決定を尊重する関わりに関する内容)、第Ⅲ因子「能力技能向上・結果重視」(運動能力の向上、ルールの徹底、技術指導に関する内容)、第Ⅳ因子「保育者・教師主導」(保育者・教師が主体となり指示的な指導を重視する内容)、第Ⅴ因子「子どもの取組み・心情重視」(子どもの気持ちに寄り添い楽しい雰囲気づくりを重視する内容)の5因子で、第Ⅰ、第Ⅱ、第Ⅴ因子は子どもの自己決定を重視する遊びを指導する因子、第Ⅲ、第Ⅳ因子は指導者主導の遊び要素の低い因子であった。 これらについて幼小で比較したところ、保育者の方がより遊びとしての運動指導を実践していたが、これは目標や教育課程などの違いによることが考えられた。 「実際の運動遊び指導」と「理想とする運動遊び指導」の比較では、幼小ともすべての因子で「理想とする運動遊び指導」が有意に高くなっていた。このことから幼小ともにより遊びとしての運動指導を理想とする一方で、教師の指導性についての必要性も感じていることが考えられた。 運動遊び指導は、相対的には保育者の方がより遊びとしての指導を実践している傾向があったものの、低学年体育において小学校教諭は遊びとしての運動指導の重要性を理解し指導していた。また、幼小とも経験年数による相違も見られたが、これは経験の影響というより、学習指導要領の改訂(養成段階での学習)と関係している可能性が考えられた【目的3】。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
養成校を対象とする「運動遊び」関連科目の教授内容に関する調査【目的2】に関し、依頼を予定していた学会大会がオンラインになったこと、新教職課程と旧教職課程が並行しており、質問方法の変更、項目の見直しを図ったことにより、回収するための十分な時間を確保することが困難となったため。
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今後の研究の推進方策 |
養成校を対象とする調査【目的2】は、Webでの依頼、調査とすることとし、効率化を図る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度実施予定の調査が未実施であったため(関連経費は次年度使用)。 また参加予定の学会等がオンライン開催となり、旅費の使用が制限されたため(次年度の旅費として計上)。
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