研究課題
本研究は非医療従事者の果たす役割を積極的に推進し、機械学習による画像識別技術に着目し、運動器障害を関連する姿勢や運動機能を評価する手法に関する基礎的研究を進めた。まずは、マーカレスモーションキャプチャを用いた自動評価システムの開発については、しゃがみ込み動作について1日おきに計測を継続し、経時的に評価した。その結果、動作軌跡において高い信頼性が得られた。また、しゃがみ込みが可能な柔軟性を有する対象者においても、股関節中心に動作をおこなうパターンと膝関節中心に動作をおこなうパターンがあることがわかり、単なるスコア評価ではなくマーカレスモーションキャプチャによる定量的評価をおこなうことの重要性が示された。下半身のストレッチをおこなうことがしゃがみ込み動作の変化に与える影響について検討した結果、柔軟性が高い対象者において股関節ストレッチによる効果に多様性が認められ、下肢の複合的な機能が求められることが示唆された。次に、基本的動作や姿勢評価に関しては、ジュニアアスリートを対象として整形外科医による運動器のメディカルチェックを実施し、障害の有無と姿勢の関係について横断的に評価した。今年はコロナ禍の影響もあり、大規模な測定を実施することはできなかったが、野球選手の投球肘障害と体幹後屈角度に関連性が認められるなど横断的評価に関する知見を得ることができた。
2: おおむね順調に進展している
コロナ禍によって大規模な測定を実施することができなかったものの、感染対策を徹底した上で、少人数の測定を継続的に実施することができた。また、実験室研究としてストレッチがしゃがみ込み動作の与える影響について検討した結果、スコア評価だけでは識別ができなかった動作の違いを検出できる可能性が示唆されたため。
今年度の研究成果を踏まえて、実装正の確認として、日常生活場面における反復測定をおこない、信頼性の検証を進める。具体的にはしゃがみ込み動作を始めとする動作評価法を日常的に実施してもらい、スマホなどを用いて動画撮影し、その動画を共有することでマーカレスモーションキャプチャをおこない、日常的場面における動作の変化から運動器障害を早期に検出することができる可能性のある変数を抽出する。また、その後、得られた成果に基づいて大規模横断的調査によって運動器障害の有無と各評価指標の関係から新しい評価法の妥当性を明らかにする。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
International Journal of Environmental Research and Public Health
巻: 19(7) ページ: 3895
10.3390/ijerph19073895
同志社スポーツ健康科学
巻: 13 ページ: 40-48