研究課題/領域番号 |
20K11464
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
木村 哲也 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (60533528)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 立位バランス / 片脚立位 / 荷重保持 / 床反力計 / モーションキャプチャシステム / 表面筋電図法 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に取り組んだ片脚立位におけるバランス維持課題(実験1)の分析を行った。その結果、両手に荷重(計5%体重)を保持した条件で、左右方向の足圧中心動揺が減少した。一方でグリップ動作のみによるバランス安定効果は認められず、片脚立位においてはある程度の重量(例:体重の5%)がバランス安定化に必要であることが明らかとなった。さらに、片手に荷重を保持した条件では、荷重にかかる慣性力と身体動揺の両時系列間に有意な相互相関が認められ、上肢固有感覚に入力する慣性力が新たな身体動揺フィードバック情報となる可能性が示唆された。 さらに、足部体性感覚を実験的に低下させた条件で、実験1と同様の測定を実施した(実験2)。若年者12名で測定を行った結果、荷重なし条件で大きい身体動揺を示した対象者において、荷重条件でより身体動揺が減少する傾向にあった。従って、今後は対象者固有のバランス調節機能も考慮した検証が必要であることが考えられた。 次に、足圧中心を随意的に変位させる動的姿勢時の、軽い荷重の把持効果について検証を行った。健常若年者を対象とし、対象者前方のモニタに提示された足圧中心位置をターゲットに留める課題を実施した(実験3)。条件は、無負荷、グリップのみ、荷重負荷(計5%体重)とした。試行中、足圧中心位置、下腿筋群の電気的活動(表面筋電図)、荷重慣性力、身体各セグメントおよび荷重の運動(モーションキャプチャシステム)を記録した。実験は完了し、現在分析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に予定していたものの、感染症対策のため未実施であった研究1の後半(実験2)を完了した。しかしながら、実験1と2における荷重の慣性力と身体動揺の関連性分析について、その分析方法と解釈に予想以上に時間を要した。それに伴い、本年度に予定していた研究2について、前半のみ(実験3)の実施に留まっている。
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今後の研究の推進方策 |
研究2の後半(実験4)の測定環境はほぼ完成していることから、次年度は実験4に早々に取りかかり、研究3(実験5)も進めていく予定である。並行して実験3の分析を進める。 その一方で、研究結果の論文投稿を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究2後半部分の実験実施と研究成果発表の一部を次年度に延期したため、未使用額が生じた。次年度は研究2後半部分と、当初より予定している研究3を実施する予定であり、それらの予定使用額を合わせて使用する計画である。また、研究成果発表費用にも充てる予定である。
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