研究課題/領域番号 |
20K11466
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研究機関 | 京都市立芸術大学 |
研究代表者 |
上 英俊 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 教授 (90433242)
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研究分担者 |
吉武 康栄 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (70318822)
鷲野 壮平 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 産総研特別研究員 (30850937)
空閑 佐智子 京都外国語大学, 外国語学部, 准教授 (10573553)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 呼吸筋 / 血流 / 盗血現象 |
研究実績の概要 |
呼吸筋への血流を外因的に増加させた直後,(血流が低下している)他筋による力制御能は変化するのか否かということについて検証を行った. <方法と結果>50%VO2maxでの運動(E)条件と,E条件に30%MIP の呼吸負荷を加えた呼吸負荷運動(BE)条件で上肢の巧緻性と筋線維活動を測定した.その結果,上腕動脈血流量は,BE条件で,PreからPostにかけて減少し(P < 0.05),PostではBE条件がE条件より低値を示した(P < 0.05).また,等尺性の力調節中の力の標準偏差は,どの区間においても条件間で差はなかった(P > 0.05).一方で,3-15Hz成分を抽出した場合,その力の標準偏差は,PostにおいてBE条件はE条件より低値を示した(P < 0.05). <考察>呼吸負荷による非活動肢の血流量減少は先行研究の結果と一致し,呼吸筋活動を増大させた時に誘発される骨格筋の血管収縮による影響である可能性が高い.また,発揮筋力の3-15Hzの標準偏差の低下は,呼吸筋への血流を優先した結果発生する活動筋への血流量のの減少により,示指外転筋の筋紡錘における伸張反射が減衰し,反射活動に由来する3-15Hzという特定の周波数帯の変動が低下した可能性が考えられる. <結論>下肢運動中に呼吸筋活動が増大すると,非活動肢の血流量は減少し,その肢での力発揮中には3-15Hz成分の力変動が低下する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に新型コロナウィルス感染症拡大の影響により調査をほとんど実施できなかった.今年度は調査を順調に実施できたため,かなり挽回できたものの,1年間の影響は大きく,当初の予定通りには少し遅れている状況である.
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今後の研究の推進方策 |
呼吸筋に特化した持久的トレーニングの効果として,他筋への血流再配分が確保でき,力制御能にも影響を及ぼすか否か検証する. 呼吸筋のみをターゲットとした持久的トレーニングを行う.市販の吸気抵抗器(POWERbreathe)を用いて,Washino ら(2019)のデータを基に胸鎖乳突筋の筋活動量が50%になる最大吸気圧の50%の吸気抵抗を付加した条件で50%の吸気流速の吸気を30 回,5 分の休憩を挟んで1 日3 セット,週3 回,1 ヶ月間のトレーニングを行う.トレーニング前後において,上述の測定を行う.なお,トレーニング前後の測定において,吸気条件は同一とする.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は,呼吸筋活動=換気量や吸気速度の増加にともなう四肢の活動肢筋への血流配分一方で,コロナ感染の主たる要因が飛沫であることを考慮すると,初年度には実験の実施を制限する必要があった.そのために進捗状況がやや遅れており,次年度への繰り越し予算が生じた. 今年度は調査を順調に実施できたために,かなり挽回できたものの初年度の影響は大きい.次年度も,今年度同様に調査ペースを維持しつつ,当初の計画通りに調査を終了させることを目指す.
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