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2020 年度 実施状況報告書

酸化ストレスと発達障害:社会的コミュニケーション障害発症の分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K11478
研究機関兵庫医科大学

研究代表者

吉原 大作  兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00567266)

研究分担者 藤原 範子  兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10368532)
崎山 晴彦  兵庫医科大学, 医学部, 講師 (30508958)
江口 裕伸  兵庫医科大学, 医学部, 講師 (60351798)
鈴木 敬一郎  兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70221322)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード酸化ストレス / 活性酸素 / 発達障害
研究実績の概要

本研究の目的は、胎児期や成長期における酸化ストレスが、小児の発達に及ぼす影響を明らかにすることである。これまでに研究代表者は、抗酸化酵素であるCu,Zn-superoxide dismutase(Cu,Zn-SOD: SOD1)を欠損しているマウス(SOD1KOマウス)は、出生から離乳期までの発育が遅く、社会性の低下や様々な行動学的異常が認められることを報告してきた(Yoshihara et al., Free Radic Res. 2016)。さらに研究代表者は、SOD1KOマウスの大脳において、ドーパミン神経伝達の調節分子であるドーパミントランスポーター(DAT)が顕著に増加していることも見出している。社会性の低下は、自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder: ASD)の主要な症状である社会的コミュニケーション障害の一つであり、これまでに様々なASDモデルマウスにも認められている行動学的異常である。また、DATは、ドーパミン(DA)の再取り込み輸送体であり、DAの作用(運動調節、情動、意欲、学習など)を抑制する様に働くと考えられている。これまでに、DATの欠損マウスがADHD様の多動症状を示すこと等が報告されており、DAT発現の変化が発達障害における様々な症状と関連していることが示唆されている。これらのことから、研究代表者は、社会的コミュニケーション障害(社会性の低下)が発症する背景には、酸化ストレスが関与している可能性があると考えている。令和2年度は、培養細胞を用いて、SOD1KOマウスにみられるような酸化ストレス亢進状態が、DATの発現や細胞内局在に与える影響を解析した。その結果、ある種の酸化ストレス刺激においてDATの発現が誘導される可能性を見出した。現在、引き続き酸化ストレスによるDAT発現誘導の詳細なメカニズムを解析している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

培養細胞実験を用いた実験と並行して、マウスを使用した行動学実験を計画していたが、実験に必要なマウスの個体数を確保できなかった。現在は実験に使用するマウスの個体数を確保する目途が立っており、令和3年度にはマウスを使用した行動学実験が実施できる見込みである。

今後の研究の推進方策

令和2年度に得られた培養細胞を用いた実験結果の解析を進めるとともに、実験動物(マウス)を用いた行動学実験などを行う予定である。本研究では、社会性行動の評価のみでなく、常同行動およびモチベーション行動等の評価のための行動試験を行う。社会性行動は、Three-Chamber Testに加えて、社会的優位性テストや超音波啼鳴試験を用いて、多面的な評価を行う。行動学実験に供したマウスの脳内モノアミン類の測定も行って、行動学的異常との関連を検討すしていく。また、行動学実験に供したマウスの脳各部における、遺伝子発現解析やプロテオーム解析を行って社会的コミュニケーション障害発症の原因となる様な責任分子の同定を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19の影響で試薬類(特に輸入品)の納品などに遅れが出ていることから、使用する予定の試薬類の発注を早めたために次年度使用額が生じた。令和3年度は、状況を見極めながら適切に予算の使用を調整していく予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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