研究課題/領域番号 |
20K11479
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
中谷 敏昭 天理大学, 体育学部, 教授 (60248185)
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研究分担者 |
灘本 雅一 桃山学院教育大学, 人間教育学部, 教授 (10712846)
寺田 和史 天理大学, 体育学部, 教授 (40454798)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 動的バランス / 加齢変化 / 中高年齢者 / 重心位置 / 偏差 / 若年者 / 重心軌跡 / 足圧中心動揺 |
研究実績の概要 |
本年度は,動的バランスを評価する十字移動テストの信頼性と足圧中心動揺パラメータの特性について検討した.十字移動テストを複数回測定した信頼性は,健康な若年男女44名(18~25歳)と地域に居住する中高年男女39名(61~85歳)を対象にして,重心軌跡測定器の上で重心位置を前後と左右に移動させる際の最大距離で評価した.その結果,十字移動テストの級内相関係数(ICC1,1)は,前後への最大移動距離は若年男女0.888,中高年男女0.927,左右への最大移動距離は若年男女0.860,中高年男女0.887と一般的な判断基準である0.7以上となり,テスト結果の再現は良好であった.十字移動テストは若年者から高齢者のバランス能力を評価するテストとして高い信頼性を有していることが明らかとなった. 次に,全被検者の重心位置の前後への最大距離あるいは左右への最大距離と他の足圧中心動揺パラメータ(各移動時の各偏差,単位軌跡長,単位時間あたりの外周面積)の関係を検討したところ,単相関分析ではほとんどの項目で有意な相関関係を示し,身長を制御した偏相関分析においてもその関係は変らなかった.これらのことから,十字移動テストで求めた重心位置の前後と左右への最大移動距離は体格に影響されず動的なバランスを評価できる可能性が示された. また,若年者と中高年者における重心位置の前後と左右への最大移動距離,前後と左右への移動時における左右と前後への偏差(ばらつき),前後移動時の最大距離を左右への偏差および左右移動時の最大距離を前後への偏差で除した動的バランス指数(最大移動距離/偏差)を比較したところ,すべての項目において若年者と中高年者に有意な差が認められた.このことは,十字移動テストによる重心位置の前後と左右へ移動させる際の最大距離に加えて偏差で加齢変化をとらえることができると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
若年者においては既にデータを取得しており,今年度測定できた中高年齢者39名との比較検討が可能であった.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の当初の計画通り,2年目では中高年者と高齢者のデータを増やして18歳以降の十字移動テストで得られた足圧中心軌跡パラメータの加齢変化や各種体力テストの結果との比較を行っていきたい.2年目の目標としては100名以上の測定ができるように計画を立てていることから,有用性の高い研究結果を得られると考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の拡大のため,予定していた測定ができなかった,学会大会への旅費等が必要なかったため.
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