研究課題/領域番号 |
20K11479
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
中谷 敏昭 天理大学, 体育学部, 教授 (60248185)
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研究分担者 |
灘本 雅一 桃山学院教育大学, 人間教育学部, 教授 (10712846)
寺田 和史 天理大学, 体育学部, 教授 (40454798)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高齢者 / 静的バランス / 動的バランス / 椅子からの立ち座り / 下肢筋パワー / トレイルメーキングテスト / コーディネーションテスト / ステッピング |
研究実績の概要 |
2022年度は,一般高齢者を対象として2つの運動グループに分けてトレーニング介入を行った.新型コロナウィルス感染症の影響もあり,当初予定していたトレーニングを実施できなかったため研究計画を再検討した.その結果,椅子からの立ち座りを用いた運動で,素早い立ち上がり・普通に座るグループ(QU群14名:quick stand-up)と,普通に立ち上がり・ゆっくり座るグループ(SD群13名:slow sit-down)に分けて12週間行わせた.各群とも月2回の運動教室と月10回の自宅運動を継続させた.測定項目は,左右への移動を行うコーディネーション歩行,トレイルメイキング(TMT-A・B),静的バランス(足圧中心動揺),動的バランス(十字移動テスト前後・左右),ステッピング,椅子立ち上がりパワー,最大2歩幅であった. 12週間のトレーニングの継続率は96.4%,月2回の教室参加率は81.9%と,一般的な運動教室と同様に無理のない内容であった.途中脱落した1名は,運動教室や自宅運動以外の受傷によるものであった. トレーニング介入の結果,QU群は左右へのコーディネーション歩行,TMT-A,椅子立ち上がりパワー,最大2歩幅に有意な改善が認められた.一方,QD群は左右へのコーディネーション歩行,TMT-A及びB,最大2歩幅に有意な改善が認められた.両群とも,足圧中心動揺で評価する静的バランスや十字移動の前後及び左右最大距離で評価する動的バランスへの影響は認められなかった.このことは,日常生活の基本動作である椅子からの立ち座りを用いた本計画では,歩行や注意・認知・実行能力,下肢筋力に影響を与えるものの,立位姿勢における静的あるいは動的バランス,足の敏捷性には影響を生じさせないと思われる.この点については,バランスパッドなどを用いたトレーニング内容の変更と対象者を増やして検証を行いたい.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ感染症の影響が続き,2022年度に予定していた高齢者を対象とするトレーニング(運動教室)では十分な結果が得られなかった(期間延長への理由).2023年度は,マスク着用の変更や5類感染症移行によって運動教室実施の目途がたった.実施時期は夏以降になる予定で,連携先の天理市福祉政策課・高清会高井病院と研究計画を練り直している.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,バランスパッドを用いたトレーニング介入を行う.概要は次の通りである.65歳以上の健康な一般高齢男女を対象に,動的な動きを用いた運動(ゆっくり立ち上がる・ゆっくり座る)に,バランスパッドを加える群と加えない群に分けて介入効果を検証する.トレーニングは昨年度と同様に月2回の専門家による運動教室と自宅実践運動を組み合わせた週3回のトレーニングを12週間継続させる.今年度は,静的バランス(開眼・閉眼条件での足圧中心動揺・片足立ち),十字移動による前後・左右への動的バランスに加えて,日常生活活動度やQOL(SF-36)への主観的健康度に関する影響を検討する予定でいる.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の延長申請を行い,課題の遂行に必要なトレーニング介入に関わる経費,本研究を総括する経費,学会発表や論文校閲に必要な経費とする.
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