研究課題/領域番号 |
20K11484
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
前田 稔 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20376841)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学校図書館 / 病院患者図書館 / がん教育 / 保健体育 / 主体的・対話的で深い学び |
研究実績の概要 |
当該研究では,1 がん教育と関わる中学校の実地調査,2 医療従事者側におけるがん教育に関する意識調査,3 病院患者図書館における実態調査に基づくがん教育への寄与,の3つが大きな要素として存在している。 しかしながら,新型コロナウィルス感染症の拡大にともなう社会情勢により,1 中学校の休校が継続され,休校解除後も,どの中学校においても外部者を学校内に入れることを認めていない状況である。毎日の消毒作業・変則的なカリキュラムの実施・各種の臨時対応/検討会議の開催などにより,大学の研究に協力する余力も乏しい。2 医療従事者は,まさに,新型コロナウィルス感染症の最前線にいる状態であり,がん教育の調査を受けることのできる状況ではない。3 病院患者図書館についても,患者と外部者の接点を可能な限り遮断することが必要になっていることから,外部者が立ち入って調査することは難しい。4 調査のための海外渡航が困難であった。 以上の要因により,今年度は実質的な研究が十分に進んでいるとは言い難い状況である。新型コロナウィルス感染症が沈静化してきた際に調査を行うための,準備は引き続き行っている。 このような状況の中で,2020年度は,学校図書館におけるがん教育および各種医療情報の提供および,提供に必要な人的条件について,学校図書館サービスの見地から,学習指導要領の具体的記述を踏まえながら,理論的整理を行い,その成果は,前田稔・堀川照代『学校図書館サービス論』内の各所で論じていった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は,中学校と,病院の両者が,対象となっている研究であるため,新型コロナウィルス感染症対策で学外者の入校は認められず,非常的な運営になっており余力のない状況の中学への調査活動は控えるべきであると判断している。同様に,病院に関しても,新型コロナウィルス感染症の最前線であり,治療と直接的な関係性が希薄な,がん教育に関しての調査を行うことについても差し控えている。海外の調査についても現在海外渡航が実質的に困難である状況のため,行うことができていない。
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今後の研究の推進方策 |
各地の中学校が開放的になってきた段階で,がん教育の現状および,教科横断型の教育実施の有無・学校図書館の保健関連の蔵書と読書指導における有効生について,調査を行っていきたい。病院の側で,どのような形態でがん教育に寄与しているのか,新型コロナウィルス感染症における学習支援と比較しながら,調査を進めていきたい。なかでも,海外の状況については,渡航制限の解除がなされた際に,調査を行うことになる。 ただし,当面,急激に緩和していくことが期待できない面もあり,インフォームドコンセントや患者の自己決定権のベースとなる理論について,特に海外の図書館の自由に関する事例を整理することで,基礎理論を構築していく。また,海外調査に関しては,各国の情勢や出入国管理の状況を踏まえながら,必ずしもアメリカ合衆国ロサンゼルスに限定せず,カナダやニュージーランド・ハワイ等の他の地域・国への実地調査も検討・実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルス感染症により,中学校や病院の現場との連携,海外調査渡航が困難になり,オンライン関連用品のみの支出となったため。 使用計画に関しては,引き続き新型コロナウィルス感染症に対応し,オンラインアンケート調査会社への支出をともなう一般市民調査や,オンラインでの成果公表に向けたホームページ作成費用,オンライン関連の機材の追加購入,オンライン上の海外情報の日本語への翻訳支援サービスの利用,電子書籍を含む関連資料の積極的購入,を検討しつつ,国外調査について新型コロナウィルス感染症の状況および出入国管理の状況を踏まえつつ,有益な調査ができる地域への旅費を支出する。
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