研究課題/領域番号 |
20K11485
|
研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
道上 静香 滋賀大学, 経済学部, 教授 (40346010)
|
研究分担者 |
島田 一志 金沢星稜大学, 人間科学部, 教授 (00454223)
小倉 圭 滋賀大学, 経済学部, 特任講師 (00805848)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 学校体育 / スポーツ現場 / ICT / データ分析 / 情報の活用 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,学校体育・スポーツの教育現場において,ICTを活用した教育支援システムの開発・実用化を目指すことであった.令和2年度における本学の正課教育においては,新型コロナウィルスの影響を多分に受けたことにより,ICTを積極的に活用した取り組みが実施された.特に,春学期はオンライン授業を,秋学期は対面授業及びオンライン授業を併用して実施された.春学期の授業計画・内容については,3週ごとに課題設定し,課題に沿った科学的知見等の情報提供とともに,正しい身体の動かし方やスポーツの技術・戦術等について,音声・キャプションを付した映像を独自に作成し,学生の生活環境に応じて,自主的・自律的・継続的に運動・スポーツを実施してもらうよう促した.講義連絡,ミニレポート・期末レポート課題の提出や学生の質問等については,WEBによる教育支援システムを活用した.また,教材配信の方法については,外部の動画・映像配信サービスを積極的に活用した.さらに,本授業の効果を明らかにするために,授業前後において,独自に作成したWEBアンケート調査を実施した.アンケート調査の結果,授業前後において,活動強度別の身体活動量が有意に増加した.また,授業前後において,「運動習慣が改善された」「食習慣が改善された」と回答する学生は,それぞれ約87%,約70%であった.これらのことから,新型コロナウィルス感染症予防対策として,外出制限や運動機会の減少など,様々な取組みが制約される特殊な環境下に置かれても,本授業の取組みは,学生の運動習慣や日常生活の改善・構築に一定の成果を得たものと考えられる.しかしながら,その一方で,学生の社会性の構築や対話的な取組みという部分については,課題が残されたものとなった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の取組みにおいては,新型コロナウィルス感染症予防対策として,外出制限や運動機会の減少など,様々な取組みが制約される特殊な環境下に置かれたため,特に,スポーツの教育現場におけるデータ収集・分析については,ほとんど実施することができなかった.しかしながら,学校体育の取組みにおいては,春学期ではオンライン授業が,秋学期では対面授業とオンライン授業が併用されたことにより,ICTを積極的に活用した取組みや研究に着手することができた.特に,春学期の取組みについては,研究論文として成果を公表することができた.これらのことから,研究の進捗状況については,おおむね順調に進んでいるといえる.
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究については,初年度の学校体育におけるICT活用の取組みについては継続して実施するとともに,秋学期の対面・オンライン併用授業の際に収集したアンケート調査の結果などについても,分析を進めていく.また,初年度で着手できなかったスポーツの教育現場におけるICT活用の取組みについても研究を進めていく.特に,ラケット系種目のスポーツの教育現場における技術・戦術の改善・向上を目的として,ICTを積極的に活用することで,また,学生自らが自身の動きを主体的・継続的・科学的・対話的に分析・評価しながら,多様な視点からスポーツとの関わり方を見出すことができるような教育実践及び研究を遂行する.研究方法としては,数値データや映像に基づく運動学的分析などを活用しながら,学生の技術・戦術がどのように変容するのかなどについて明らかにする.加えて,独自の教材作成とともに,学生自らが自身の技術や動きを評価する際の評価基準尺度を作成するために,ラケット系種目に特化した指導者とのヒアリング調査を遂行する.得られた結果については,学会発表や論文執筆を通じて公表する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
初年度においては,新型コロナウィルス感染症の影響を受けて,スポーツの教育現場における試合・イベントや例年参加している学会などが軒並み中止となったことにより,膨大な量のデータの収集・分析作業や指導者へのヒアリング調査,学会への参加のために計上していた費用を充当することができなかった.次年度においては,初年度に遂行できなかった上述の作業のために充当していきたい.特に,データの収集・分析作業やヒアリング調査においては,多くの旅費・人件費・謝金等が必要となるため,これらの経費として使用し,充実した研究を遂行していきたい.
|