研究課題/領域番号 |
20K11485
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
道上 静香 滋賀大学, 経済学部, 教授 (40346010)
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研究分担者 |
島田 一志 金沢星稜大学, 人間科学部, 教授 (00454223)
小倉 圭 滋賀大学, 経済学部, 特任講師 (00805848)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学校体育 / スポーツ現場 / ICT / データ分析 / 映像・情報の活用 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,学校体育・スポーツの教育現場において,ICTを活用した教育支援システムの開発・実用化を目指すことであった.令和3年度においては,ラケット系種目(バドミントン)のスポーツ教育現場において,ICTを積極的に活用した授業実践,特に,様々な形での映像活用の取組みを詳細に振り返り,その教育的効果を検討した.対象者は,「バドミントン」授業の受講学生24名(男子17名,女子7名)であった.本授業では,バドミントンのビデオ映像を以下の方法・目的で有効活用した.①学生個人のスマートフォンや授業用のタブレット端末を用いて技術を撮影し,得られたビデオ映像をリアルタイムで確認させながら,実技練習に着手してもらった.②学生に優れた技術,適切なフットワークや基本戦術を理解してもらうため,独自に作成した世界一流バドミントン選手の試合映像を視聴してもらった.③レポート課題では,授業前半・後半に撮影したハイクリアショットのビデオ映像を用いて,学生自身に連続写真を作成させ,両動作の違いを定性的に分析し,詳細に記述してもらった.授業終了後には,ICT活用の取組みに関するアンケート調査を実施した.その結果,動画撮影・視聴を定期的に繰り返し,技術の変容を明らかにしながら,技術の改善・向上に努めたハイクリアの学習到達目標達成度が,他の技術と比べ,最も高かった.また,本授業におけるICTの活用は,「失敗の原因の究明」「技術の課題点の明確化」「イメージと現実のズレの理解」「動きの可視化・客観化」「優れた動き・技術の理解」など,学生の技術の改善・向上に繋がる多くのプラスの恩恵をもたらした.さらに,バドミントンのストローク動作を科学的側面から学習させること,学生の主体的・積極的・能動的な学習態度や,学生同士,学生と教員との双方向の学習活動を引き出すことに貢献したことが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スポーツの教育現場におけるICT活用の取組みについて,データ収集・分析を継続して遂行しているものの,ここ数年の新型コロナウイルスの影響を受けて,スポーツの教育現場における試合・イベントなどの活動制限により,思うような研究活動が遂行できなかったこと,加えて,国内出張などが軒並み中止となったことにより,必要とされる情報・データ収集や意見交換等が実施できなかったことなどが大きな理由として挙げられる.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究活動については,初年度・次年度から継続して,学校体育及びスポーツ教育現場におけるICT活用の取組みについて実施していくこととする.特に,スポーツ教育現場におけるICT活用の取組みでは,今年度実施したバドミントン授業での授業実践に基づきながら,球技系種目(硬式テニス・野球など)についても着手していく.ここでは,独自に作成した教材の活用・数量化データの活用・映像活用・教育支援システムの活用などを通じて,技術・戦術の改善・向上を主たる目的としながらも,学生自らがスポーツを科学する取組みが促せるような教育実践及び研究を遂行していく.また,独自に作成したアンケート調査についても随時,実施し,ICT活用の実際について明らかにしていくこととする.加えて,指導者からのヒアリング調査なども実施する.得られた結果については,学会発表や論文執筆を通じて公表していくこととする.
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次年度使用額が生じた理由 |
スポーツの教育現場におけるICT活用の取組みについて,データ収集・分析を継続して遂行しているものの,ここ数年の新型コロナウイルスの影響を受けて,スポーツの教育現場における試合・イベントなどの活動制限により,思うような研究活動が遂行できなかった.また,国内出張などが軒並み中止となったことにより,必要とされる情報・データ収集や意見交換等が実施できなかったことも経費が使用できなかった大きな理由として挙げられる.故に,これまでに遂行できなかった上述の作業のために充当していきたい.特に,データ収集・分析作業・ヒアリング調査などは多くの旅費・人件費・謝金等が必須のため,これらの経費として使用し,充実した研究活動を遂行していきたい.
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