研究課題/領域番号 |
20K11491
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
坂下 玲子 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (20178552)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 運動遊び / 体育 / アフォーダンス / ケアリング / 身体教育 |
研究実績の概要 |
本研究では、生涯にわたって能動的に学び続けることができる資質・能力を育成するために、保育及び体育授業における子どもの「主体的・対話的で深い学び」のためのアフォーダンス特性の援用について明らかにすることを目的としている。 本年度は、幼稚園2園、認定こども園1園において、運動遊びの観察及び園長・保育者へのインタビュー調査を行った。 対象幼稚園において、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、子供たちが家庭で過ごさざるを得ない生活が続き、十分に体を動かす機会が減り、転んだ時に手をつけずに怪我をするという事例が数件続いたことが報告されていたため、子供たちが楽しさを感じ、主体的に取り組む運動遊びについて、環境構成の工夫とカンファレンスによる幼児理解を深める取り組みを行った。鉄棒遊びでは、移動式の鉄棒を置く場所の工夫やICTの活用にも取り組んだ。また、固定遊具や鉄棒を組み合わせるなどの環境構成を工夫することにより、「走る」「ぶらさがる」「登る」「すべる」「跳ぶ」「バランスをとる」などの多様な動きが見られた。また、鉄棒運動や園のオリジナルの体操は年少児が年長児の動きへの憧れから動きに取り組んだり、年長児にも自信をもって取り組むなどの変化が見られている。ICT環境を活用してカンファレンスを行ったり、保護者とも視覚的な情報を共有する取り組みも運動遊びの環境構成において有用であった。 また、他の幼稚園、認定子ども園において、移動式の固定遊具の設置場所の工夫、築山の活用、人工芝の設置、斜度のある遊び場の設置等により、子供たちは楽しみながら運動遊びに夢中になって取り組んでおり、動きの変化や発展が観察され、環境構成と動きについての資料を収集することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度も、新型コロナウイルス感染拡大の影響がみられたが、幼稚園、認定こども園において、運動遊びの観察及び園長・保育者へのインタビュー調査を行い、資料を収集することができた。しかし、2020年度および2021年度に予定していたが新型コロナウイルス感染拡大のために遂行できなかった運動遊び等の観察がまだ不十分であり、(3)やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度実施した、幼稚園、認定こども園において、運動遊びの観察及び園長・保育者へのインタビュー調査によるデータの分析を進めていくが、2020年度および2021年度に予定していたが新型コロナウイルス感染拡大のために遂行できなかった運動遊びの観察の追加等を行っていく。 また、これまで継続して進めてきた身体教育、身体論に関する文献研究についても子供のからだが「開き」、からだが「動く」という視点から整理していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまで新型コロナウィルス感染拡大に伴い運動遊び等の観察が制限されていたため、旅費、人件費、分析に必要な経費の出費が限られ、学会等もWEB開催が多かったため、旅費の減額が生じた。 次年度は、2020年度および2021年度に予定していたが新型コロナウイルス感染拡大のために遂行できなかった追加の運動遊びの観察及び分析、また各種学会大会がほぼ対面形式で行われることが予想されるため、学会参加の旅費等の費用に充当する予定である。
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