研究課題/領域番号 |
20K11491
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
坂下 玲子 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (20178552)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 運動遊び / 体育 / アフォーダンス / 身体教育 / 生成的コミュニケーション |
研究実績の概要 |
本年度は、これまで継続的に行ってきた文研研究の成果のまとめを行った。子どもたちの豊かな学びを保障するために、体育授業における環境や状況に「開かれたからだ」について検討するために、生成としての教育を基盤とした体育授業のあり方を整理し、意味生成のための「開かれたからだ」とアフォーダンス理論の援用について考察を行った。「開かれた身体性」によって生み出そうとするものは、生成の体験としての「溶解体験」であり、体育授業においてはそれぞれの運動やスポーツの持つ面白さ(特性)に存分にふれて没頭する体験が重要になる。 ギブソンの生態学的心理学によれば、からだは外界の「アフォーダンス特性」への注目によって自ずから「動く」とされ、子どものからだが動き出す事態を提供し、より適切に世界にからだが「開かれる」ように導く学習環境をデザインしていくことが重要である。さらにアフォーダンスの視点に立ち、からだについての情報を拾い合って、「からだを開く」ことを一緒に探っていくような物理的かつ生成的なコミュニケーションが授業において有効である。学習において意味の生成が求められる中で、体育授業においてこそ、ライブ感を大事にしたからだをメディアとする物理的かつ生成的なコミュニケーションの重要性を再認識する必要がある。 体育におけるからだのあり方として、「からだをあずける」「からだでわかる」について検討を加えた。信頼して相手に身をあずけると、あずけた分だけ相手のことを知ることができる(伊藤、2020)というやりとりの豊かさを鑑み、からだをメディアとするコミュニケーションについて、体育における可能性を検討していくことが求められる。また、「からだでわかる」ということを、佐伯(2003)は運動指導を超えたものとして捉えており、体育授業に閉じないからだのあり方としての示唆を与えてくれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間の延長ができたため、これまでの研究を整理することができた。これまでの文献研究及び運動遊びの観察及び園長・保育者へのインタビュー調査によるデータの分析を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
運動遊びの観察及び園長・保育者へのインタビュー調査によるデータの分析を進め、不足している観察やインタビュー調査を加えながら、論文等にまとめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
追加の運動遊びの観察及び分析に関わる費用、また各種学会大会がほぼ対面形式に移行したため旅費等の費用に充当する予定である。
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