研究課題/領域番号 |
20K11499
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研究機関 | 至学館大学 |
研究代表者 |
十枝内 厚次 至学館大学, 健康科学部, 教授 (80381101)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 消化管 / 迷走神経 / 食欲 / 炎症 / 視床下部 |
研究実績の概要 |
現在、オルガノイド培養系の確立に着手し、細胞単離に関する技術が確立した上、消化管の小腸のCriptから数回の継代可能な幹細胞の採取に成功した。細胞分裂時に幹細胞マーカーであるLgr5発現を観察した結果、発現が増えたため等分裂が進み、分化が進んでいない状況が認められた。分化マーカーであるklf4、SOX9、NeuroD、Hes1などの上昇は不十分でありったため、Criptから複数回分化し、消化管上皮を構成する細胞群を形成するに至っていない。一方、迷走神経は成熟細胞を単離し、神経線維を成長させることは問題なく可能な状況にあるが、実験に必要な5,000個から10,000個の細胞を成長させるには1度の解析でマウス20頭ほど必要な状態であり、神経線維成長がやや難しいラットへの移行も並行して行い、より実現可能な方向に持っていく検討を始めている。この系の確立の後、責任物質の特定に研究を進める予定である。 GFPマウスと野生型のパラビオーシス手術の実施は、マウスの導入に目処がたち、予定より遅れているが進めている。令和4年度の9月から開始予定で、解析結果は12月には出る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID19感染拡大に伴う学校業務へのエフォートが令和3年度前期まで、大幅に増加し、研究への継続的なエフォートの分配が困難であった。令和3年度前期には、大学に新しいオンラインシステムが導入され、その対応に終始した。本研究計画の主体となる実験系であるオルガノイド培養はスタートしてしまうと実験を止めることが困難であるため、不測の事態に対応できる体制で学校業務を優先させる必要があった。後期に入って、オンラインなどの対応もひと段落し、対面など通常の学校業務に戻ったことから、実験に着手できた。
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今後の研究の推進方策 |
現在、確立を目指しているオルガノイド共培養系をにおいて、消化管を構成する全ての細胞群が形成されるのが確認された後、迷走神経との共培養を実現させる。その後、当初、マイクロアレイで遺伝子発現を解析する予定であったが、迷走神経および消化管細胞のメチル化状況を次世代シークエンサーで網羅的に解析する。現在、次世代シークエンサーを用いてメチル化を解析するメチローム解析方法の確立を並行して行なっている。また9月にGFPマウスと野生型マウスとのパラビオーシス実験を開始する予定であり、全身に分布する骨髄由来のマクロファージ細胞と常在マクロファージ様細胞との住み分けを明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は、実施報告にも記載したとおり、前期は研究にエフォートを分配することが難しく、後期より研究を開始した。オルガノイド培養用の設備を整え、実験を開始し、一定の検証をスタートしている。今後、この研究に必要な消耗品が継続的に必要になると同時に、これから開始予定のパラビオーシス実験に動物飼育や免疫染色用の試薬類が必要であり、実験の進行に応じて購入していく。
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