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2021 年度 実施状況報告書

ソマティクスの実践・研究動向の海外調査、およびその基礎的・本質的概念の抽出と検討

研究課題

研究課題/領域番号 20K11500
研究機関武庫川女子大学

研究代表者

村越 直子  武庫川女子大学, 健康・スポーツ科学部, 准教授 (40465670)

研究分担者 橋本 有子  お茶の水女子大学, 教学IR・教育開発・学修支援センター, 講師 (50826972)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードソマティクス / ダンス / 身体の教育 / 臨床教育学 / からだ / ソマティック・エデュケーション / ムーヴメント / エンボディメント
研究実績の概要

昨年度に引き続き、コロナウィルス感染症予防対策による国内移動や渡航制限に影響され、学会参加や共同研究はオンラインを活用することとなった。本年度もMartha Eddy の研究・実践を追いながら、発刊以来、国内外のソマティクス実践者/研究者に購読されているソマティック実践とダンスの小史を描いたEddyの論文「A Brief History of Somatic Practices and Dance: Historical Development of the Field of Somatic Education and Its Relationship to Dance」(2009)の和訳を終えた。その論文はロシア語版、スペイン語版と共にIntellectより日本語版として出版される予定である(2022年5月現在)。同時に著書「Mindful Movement: The Evolution of the Somatic Arts and Conscious Action」の翻訳についても、著者とオンライン相談を重ねながら出版に向けて準備中である。今年度は第1回目の海外調査が可能となり、ニューヨーク在住のソマティクス実践者らとの対面インタビューを実施することができた。
また、Thomas Hannaと親交があったDon Hanlon Johnsonの実践と思想について調査するため、主要論文の購読を始めた。北米西海岸のソマティクス事情を調査研究してきた畑山知子氏(2021年11月)、カリフォルニア統合研究所(CIIS)にJohnsonに師事した村川治彦氏(2022年2月)を招き、研究会を開催した(どちらも武庫川女子大学生活美学研究所主催)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的に沿って、主要文献の収集と講読は順調に進んでいる。昨年同様、コロナ禍で学会などが全てオンライン化されたために、より多くの研究発表に触れることができたが、それらを整理することに予想以上の時間がかかっている。Martha Eddyの主要論文(2009)の日本語版が出版準備中である。また、ソマティクスのダンサー教育への適応を試みた実践研究論文(英文、共同執筆)を海外学会誌に投稿する予定である。
本研究のソマティクス実践として、2021年度後期より、西宮市大学単位共通講座のひとつ「ソマティクスとダンス」を橋本・村越が共同で担当した。受講生のフィードバックから、課題と成果が読み取れた。
研究の進捗に伴い、ソマティクス系譜上におけるLaban/Bartenieff Movement Studies/System(LBMS)の重要性を再認識するに至り、代表者村越は、Laban Institute of Movement Studies(LIMS)が提供している資格者養成コースの受講と調査をオンラインで開始し、2022年1月に現地調査とLIMSコース主任のCheryl Clarkにインタビューを行った(橋本はオンライン参加)。
研究分担者の橋本は、昨年度に引き続き、LBMSの主要研究者らが2020年春に立ち上げたDEI(Diversity, Equity, and Inclusion)の初期メンバーとして、DEI視点に基づく思想と理論的解釈における議論に参加し、内容の更新を注視している。またLBMSを実践的に用い続けてきた大学体育におけるダンス創作の授業内容とその効果についての論文「ムーヴメントの学習を伴う段階的なダンス創作学習の実践研究:「ムーヴメント始まりのダンス創作学習」から「なんでも始まりのダンス創作学習」へ」が,日本女子体育連盟学術研究より2022年3月に発刊された。

今後の研究の推進方策

コロナ禍の影響により、ソマティクス実践者との対面での参与観察が十分にできていないことと、オンラインによる実践がグローバル規模で氾濫しているため、ソマティクス実践および研究の全体像が把握しにくい。今後も北米とヨーロッパ圏で研究・実践を継続しているEddyを追うと同時に、LIMSがグローバルにコースを展開していることを活用しながら、急速でより複雑に発展し続けるソマティクス領域の実態を追っていく。
まず、代表者村越は、2022年6月、2023年1月に引き続きニューヨークでの再調査を行う。LIMSでの参与観察、Martha EddyとCheryl Clarkへの追加インタビューを予定している。2023年3月には、研究者2名で北米西海岸地区でのDon Hanlon Johnson, Bill Evans, Sondra Fraleighへのインタビューと参与観察を行う。調査実施前に、各人の文献の講読とそれについての研究討論を行う。
本研究の基礎研究として、村越はエディの実践についての論文の投稿を予定している。橋本は,LBMSを用いてソマティック・ムーヴメント/ダンスを実践している自身の授業を対象にした論文(英語)および同授業の教授法をまとめた論文(日本語)を投稿予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍が影響し、海外調査が滞っており、調査出張費が予定通り使用できなかった。今後、海外渡航が可能な場合に、状況を見ながら予算額に準じて使用したい。未使用の出張予算は可能な年度に充当したい。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] コロナ禍におけるダンス授業と「からだ」2022

    • 著者名/発表者名
      村越直子
    • 雑誌名

      教育

      巻: 912 ページ: 33-40

  • [雑誌論文] ムーヴメントの学習を伴う段階的なダンス創作学習の実践研究:「ムーヴメント 始まりのダンス創作学習」から「なんでも始まりのダンス創作学習」へ2022

    • 著者名/発表者名
      橋本有子
    • 雑誌名

      日本女子体育連盟学術研究

      巻: 38 ページ: 1-14

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ソマティック・ムーヴメント/ダンス ワークショップ 内と外のつながり2022

    • 著者名/発表者名
      橋本有子
    • 雑誌名

      舞踊教育学研究

      巻: 23 ページ: 34-35

  • [雑誌論文] 大学体育における「ムーヴメント始まりのダンス創作学習」の実践研究 ―ソマティック・ムーヴメント・エデュケーションを基盤として2021

    • 著者名/発表者名
      橋本有子
    • 雑誌名

      舞踊教育学研究

      巻: 第22号 ページ: 3-13

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 幼稚園・小学校の指導者養成における動きの観察力の育成 ―学習者の「知」と観察内容2021

    • 著者名/発表者名
      橋本有子、大橋奈希左
    • 雑誌名

      お茶の水女子大学人文科学研究

      巻: 17号 ページ: 13-23

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ソマティック・ムーヴメント/ダンス ワークショップ vol.22022

    • 著者名/発表者名
      橋本有子
    • 学会等名
      日本ダンス医科学研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] コロナ禍の大学ダンス授業から考えさせられたこと2022

    • 著者名/発表者名
      村越直子
    • 学会等名
      武庫川臨床教育学会
    • 招待講演
  • [学会発表] Laban/Bartenieff Movement Studies/System (LBMS) に基づく教授法を用いた授業実践:ソマティック・ムーヴメント・エデュケーションの授業を題材にして2021

    • 著者名/発表者名
      橋本有子、山田美穂
    • 学会等名
      舞踊学会

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公開日: 2022-12-28  

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