研究課題/領域番号 |
20K11502
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研究機関 | 南九州大学 |
研究代表者 |
宮内 孝 南九州大学, 人間発達学部, 教授 (70586015)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 用具でボールを打つ / 小学校体育 / 教材 / 教具 / 教材開発 |
研究実績の概要 |
バットやラケットなどの用具でボールを打つ動きは、投げる、捕る、蹴る動きとともに、実質的なボールゲーム参加を保障するために必要な技能である。しかしながら、小学校体育授業における打つ動きを学習内容とした教材開発は、未着手の状況にある。そこで、本研究では、用具を使ってボールを「打つ」動きの発生を意図した教材開発を行うことを目的としている。 研究初年度の令和2年度は、用具でボールを打つ動きの習得を意図した13の先行実践を取り上げて、その教材の特徴、教材の視点などの検討を行った。本検討を通して、この動きの習得を意図した教材を開発するために重要となる視点として、次の4点を示唆することがきた。(1)ボールという対象物に関与しない素振りのような指導ではなく、ボールを打つ局面を取り入れながら、全身が関与した振り打つ動き発生させる視点。(2)「手に当てる→手で打つ→手に持った用具で打つ」の段階的な指導ができる視点。しかも、手に持った用具は、ちりとりあるいは卓球のラケット→ミニテニスのラケット→バットというように段階的にグリップを長く、しかも打撃面を段階的に狭くするような教具を開発する視点。(3)打とうとするボールの動きを先読みして移動する動きができるようにするための感覚的な学習を促す視点。(4)「打つ」動きと類似する「捕る」「投げる」「用具を振る」などの動きを習得させて「打つ」動きが円滑に習得できるようにする視点。 今後は、このような教材開発の視点を用いて、新たな教材開発を行って、小学校の体育授業に提供していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度は、「小学校6年間と中学校とのつながりを考慮して体育授業で取り上げる「打つ」動きの抽出」「低学年を対象とした「打つ」動きの習得を図る教材開発」についての検討を行うことができた。しかしながら、本学主催事業「チャレンジ運動教室」に参加する幼児・児童を対象として、発達段階における「打つ」動きの実態把握と予備的実践が実施できなかた。それは、コロナウィルス感染防止のたるに本教室が予定通りに実施できなかったことによる。 令和3年度の6月に実施される本教室において、上記の実態把握と予備的実践を実施する予定である
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度の取組の知見、特に教材開発の4つの視点を用いた教材開発に取り組む。そして、その教材を用いた低学年児童を対象とした授業設計を行い、その授業実践とその成果の検討を通して、本教材の有効性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は、コロナ禍によって予定していた児童を対象とした指導実践ができなかったことによって、打つ動きの動作分析に必要なコンピュータなどの機器購入の必要が生じなかった。また、情報収集のための出張ができなかったことで、旅費の支出ができなかったことによって、次年度使用額が生じている。 令和3年度には、指導実践による児童の動きの変化を分析する機器購入、コロナウィルス感染の状況を考慮して情報収集・情報提供に出向く旅費に、本金額を充当する。
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