研究課題
本年度は、年度当初より新型コロナウィルス感染症の流行が拡大したため、感染防止対策として健常人を対象とした学生健診や地域健診における臨床検査がやむなく中止または延期された。そのため、本年度中に行う予定であった対面での血圧測定や脈波検査に基づくデータ収集を十分に遂行することが困難であった。この状況を踏まえ、従来から蓄積してきた血行動態データを基に、血圧・血流評価に関する新たな分析手技の開発に着手した。具体的には、特許取得済みおよび特許出願中の血流波形分析法を用いて、身体各所の動脈における脈波波形を詳細に定量化した。また、血圧波形分析に基づく血圧指標ならびに脈波速度測定から得られた動脈スティフネスを新たな視点から再評価した。さらに、これらのデータから血圧・血流関係に関する予備的な分析を試み、その結果から有用な解析方法を見出すことができた。この新解析法を現在までに記録したデータに適用して、データベースを拡充し、次年度の成果公開にむけて準備を進めている。
3: やや遅れている
1. 本年度の新型コロナウィルス感染症拡大防止対策のため、学生健診や一般健診等において予定していた対面での臨床検査によるデータ収集が困難であったこと。2. 一方で、従来から蓄積してきた血行動態データを基に、新たな脈波解析法の開発を進め、予備分析から有意な結果が得られたこと。3. 本研究のデータ解析で用いる血圧評価法について、関連する国際学会にて発表し、その重要性について情報発信できたこと。
1. 血行動態データの収集を行い、データベースをさらに拡充・強化する。2. 本年度内に開発した新解析法を導入し、その有用性について広く検討する。3. 研究対象者を健常ボランティアや地域健診受診者等にも拡げる。4. 前向き追跡データベース構築のための基盤作りを行う。
本年度内に予定していた調査研究が、新型コロナウィルス感染症流行拡大のために中止・延期となり、人件費・謝金を使用することが困難であった。また参加を予定していた学会がオンライン開催となり、情報収集・結果公開のための旅費の支出を要しなかった。次年度は、感染予防に配慮した上で調査研究を実施し、学会発表等による研究成果の公開を行う予定である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Hypertension Research
巻: 44 ページ: 88~97
10.1038/s41440-020-0521-2