研究課題/領域番号 |
20K11504
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
橋本 潤一郎 宮城教育大学, 保健管理センター, 教授 (50333795)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 動脈硬化 / 循環器・高血圧 / 老化 / 血行動態 / 脈波分析 / 血流 / 臓器障害 / 大学生 |
研究実績の概要 |
本年度は、非侵襲的な方法を用いて中心血行動態の計測に関するデータの集積を行うことができた。従来から集積してきたデータと合わせ、早期動脈硬化や青年期高血圧の頻度について検討を行っている。 また、蓄積した血行動態データを基に、血圧・血流評価に関する新たな分析手技の開発に着手し、新知見を得ることができた。具体的には、拡張期内における血圧変動(重複波)と血流変動(三相波)の間に一定の関連を証明することができ、また両者の発生には大動脈と末梢動脈の間のスティフネス勾配や脈圧増幅が関与することが明らかとなった。 このような現象は、早期動脈硬化や主要臓器障害との関連も示唆されるため、血行動態の新たな手法として、拡張期の血圧・血流波形分析は心血管リスク評価に関する有用な情報を提供する可能性が推測された。 上記の所見について、国際学会ならびに専門雑誌において研究成果の公開を行うとともに、新規分析方法に関して特許申請を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.従来から蓄積してきた血行動態データを基盤として、拡張期の血圧・血流波形の形成原理を血行動態の観点から明らかにすることができた。 2.大動脈と末梢動脈の間の硬さ勾配や脈圧増幅が、血圧や血流波形の拡張期内変動に大きな影響を及ぼすことが証明された。 3.上記の発見について、関連する国際学会で発表を行い、国際専門誌に結果を公開することができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.本年度内に発明した新しい血行動態解析法を広く導入し、その有用性についてさらに検討する。 2. 研究対象者を健常ボランティアや地域健診受診者等にも拡げ、データベースの拡充を行う。 3.前向き縦断研究のための追跡データベースを構築するための基盤作りを進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症流行拡大のため、健診項目内容の縮小や変更が行われ、人件費・謝金を使用することが困難であった。また参加を予定していた国内・国際学会のほとんどがオンライン開催となり、研究結果の公開や情報収集のための旅費の支出を要しなかった。 次年度は、感染予防に配慮した上で予定していた調査研究を行いとともに、学会発表等による研究成果の公開を行う予定である。
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