2022年度に5名の研究参加者に対して、CT撮影(内臓脂肪量などを測定)、体組成測定、血中脂肪酸濃度測定を行った。2020年度からの3年間の研究参加者は計25名であった。年齢は57+/-11(平均+/-標準偏差)歳であった。基礎疾患としては、脂肪肝 17名(中等度以上 16名)、非アルコール性脂肪性肝炎 11名、糖尿病 18名、脂質異常症 17名(高LDLコレステロール血症15名・高中性脂肪血症 5名)、高血圧症 13名、高尿酸血症 3名であった。体格指数(BMI)は29.1+/-6.1 kg/m2で、肥満者(BMI 25 kg/m2以上)は23名、うち高度肥満者(BMI 35 kg/m2以上)は2名であった。観察期間は6.4+/-1.2(平均+/-標準偏差)ヶ月であった。 観察期間前後の内臓脂肪量の変化と血中パルミトレイン酸(palmitoleic acid、C16:1(n-7)/パルミチン酸(palmitic acid、C16:0)濃度比(POA/PA比)の変化の関係を検討した結果、有意な正の相関関係が認められた。内臓脂肪量の増加は様々な生活習慣病の悪化に関与し、通常腹部のCT画像を用いて計測されるが、放射線被曝を伴うため頻回に測定することは困難である。今回、血中パルミトレイン酸/パルミチン酸濃度比の変化が内臓脂肪量の変化と相関することが明らかになったため、この指標を用いて内臓脂肪の減少を目指した診療が可能となる。
|