研究課題/領域番号 |
20K11513
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
堅田 和弘 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60593910)
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研究分担者 |
高木 智久 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70405257)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 粘膜バリア / 腸内細菌叢 / 粘膜関連細菌叢 / 生活習慣病 / 腸管粘膜上皮機能 |
研究実績の概要 |
生活習慣病などの様々な疾患において、腸内細菌叢の変容はその病態の発症・進展に密接に関連している。腸内細菌叢の変容がもたらす腸管恒常性の破綻について研究が進められているが、腸管粘膜上皮に密接に関わる粘膜関連細菌叢や粘膜バリアについて十分解明されていない。生活習慣病やリーキーガット症候群の動物モデルやUssing chamberシステムを用いて粘膜関連細菌叢や粘膜バリアを介した腸管粘膜上皮の制御機構を解明した先行研究を発展させ、本研究では、粘膜関連細菌叢の変容や粘膜バリアの強化に資する機構を解明し、治療標的のスクリーニングを行い、粘膜関連細菌叢や粘膜バリアを標的とした生活習慣病への治療応用を行うことを目指し研究を進めている。 当該年度においては、先行研究で行った腸管粘膜バリアの破綻による非アルコール性脂肪性肝疾患モデルを用いて、水溶性食物繊維による炎症制御、粘膜バリアの強化、腸内細菌叢や短鎖脂肪酸の変容の機構についての研究をさらに進展させ、論文投稿した。その後本年度5月にWorld Journal of Gastroenterology誌に公表されている。 また先行研究で行ってきたヘムオキシゲナーゼや一酸化炭素炭素を介した炎症制御や粘膜バリア制御についての研究をさらに進展させ、第46回日本微小循環学会のシンポジウムにて発表した。論文投稿準備中である。 さらに、先行研究で行ってきた酸化チタンによる腸管炎症増悪機構に関する研究を進展させ、粘膜バリアや腸内細菌叢の変容よる影響を解明した。論文を投稿し対応中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度において、コロナ渦により大学内施設での研究に制限が生じ、当初予定していた動物実験の遂行に影響が出た。研究発表についても、コロナ渦のため発表機会が減少した。
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今後の研究の推進方策 |
1.生活習慣病・リーキーガットシンドロームの動物モデルにおける粘膜関連細菌叢や粘膜バリアを介した腸管粘膜上皮の制御機構やその強化機構の解明 リーキーガット症候群を呈する動物モデル(酸化チタンを用いた腸管バリアの破綻による動物モデル)についての検討については、引き続き論文投稿後の対応を進めていく。ポリソルベート80を用いた粘液層の減少による動物モデルの検討を実施し、粘膜バリアや粘膜関連細菌叢について検討を進める。すでに明らかになった結果や上記結果を統合し評価し、粘膜関連細菌叢や粘膜バリアを介した腸管粘膜上皮における制御機構や強化機構を明らかにし、また腸管粘膜上皮の強化に向けた治療標的を明らかにする。令和3年度での完了を予定する。 2.トランスウェルやUssing chamberによる粘膜バリアの評価及び先行研究やドラッグ・リポジショニングを応用した治療候補の探索 ポリソルベート80を用いた粘液層の減少による動物モデルを用いてUssing chamberによる粘膜バリアの評価を行う。粘膜-粘膜下組織標本を作成しUssing chamberに装着し、粘膜上皮組織のイオン透過性や高分子透過性を測定する。先行研究やドラッグ・リポジショニングによる候補薬剤を用いて、トランスウェルやUssing chamberによる検討を行い、粘膜バリア機能の強化に資する治療標的をスクリーニング、治療候補を見出す。令和3年度中の完了を予定する。 3.治療候補による生活習慣病への治療応用の検証 治療標的や標的薬剤が、粘膜関連細菌叢の変容や粘膜バリアの強化を引き起こし、生活習慣病を改善させるかについて、動物モデルを用いて検証する。今年度までの成果を基に、ヒトでの臨床検討に向けた研究基盤をさらに確立する。令和3年度後半からの検討を予定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた動物実験ができなかったため、マウス、各測定系、粘膜関連細菌叢解析の費用が生じなかった。またコロナ渦で学会参加することがなく、旅費の費用が生じなかった。上記理由にて、次年度使用額が生じた。 来年度に同動物実験および測定や解析を予定し、来年度に当初予定していた解析と併せて検討していく予定である。
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