生活習慣病などの様々な疾患において、腸内細菌叢の変容はその病態の発症・進展に密接に関連している。腸内細菌叢の変容がもたらす腸管恒常性の破綻について研究が進められているが、腸管粘膜上皮に密接に関わる粘膜関連細菌叢や粘膜バリアについて十分解明されていない。生活習慣病やリーキーガット症候群の動物モデルやUssing chamberシステムを用いて粘膜関連細菌叢や粘膜バリアを介した腸管粘膜上皮の制御機構を解明した先行研究を発展させ、本研究では、粘膜関連細菌叢の変容や粘膜バリアの強化に資する機構を解明し、治療標的のスクリーニングを行い、粘膜関連細菌叢や粘膜バリアを標的とした生活習慣病への治療応用を行うことを目指し研究を進めている。先行研究で行った腸管粘膜バリアの破綻による非アルコール性脂肪性肝疾患モデルを用いて、水溶性食物繊維による炎症制御、粘膜バリアの強化、腸内細菌叢や短鎖脂肪酸の変容の機構についての研究をさらに進展させ、2021年5月にWorld Journal of Gastroenterology誌に公表した。またヘムオキシゲナーゼや一酸化炭素炭素を介した炎症制御や粘膜バリア制御についての研究をさらに進展させ、第46回日本微小循環学会のシンポジウムにて発表し、その後、2022年3月にAntioxidants 誌に公表した。また、粘膜バリア障害におけるフェロトーシスの役割について、2024年2月の第49回日本微小循環学会のシンポジウムで発表し、現在論文作成中である。さらに酸化チタンによる腸管炎症増悪機構に関する研究を進展させ、粘膜バリアや腸内細菌叢の変容よる影響を解明し、論文を投稿中である。さらに、腸管粘液バリアの破綻による生活習慣病の進展についての検討を進め、データは増えているが、未完了であり、検討を継続している。
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