研究課題/領域番号 |
20K11523
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研究機関 | 松山大学 |
研究代表者 |
奥山 聡 松山大学, 薬学部, 准教授 (40550380)
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研究分担者 |
並河 徹 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (50180534)
中島 光業 松山大学, 薬学部, 教授 (70311404)
澤本 篤志 松山大学, 薬学部, 特任助教 (70760388)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | SHRSP / 脳虚血 / 柑橘成分 |
研究実績の概要 |
これまでに我々は、愛媛県特産柑橘「河内晩柑」の果皮に含有されるヘプタメトキシフラボン(HMF)およびナリンギン(NGI)が、ヒト本態性高血圧・脳血管疾患モデルである高血圧自然発症脳卒中易発症ラット(SHRSP)に対する一過性全脳虚血手術の系において、抗炎症ならびに神経細胞死抑制作用を示すことを見出してきた。
そこで本研究では、SHRSPの一過性全脳虚血に引き起こされる脳機能機能障害に対して、HMFおよびNGIがどのようなマーカーを変化させ障害の抑制作用を示すのかを明らかにするために、ウエスタンブロットによる解析を行った。
<SHRSPの一過性脳虚血障害に対するHMFおよびNGIの作用解析> SHRでは一過性の全脳虚血によっても海馬における神経細胞死が誘発されないが、SHRSPでは神経細胞死が誘発される。このことから、12週齢時にラット両側総頸動脈流をクリップで20分間一時的に遮断、その後再灌流することで全脳虚血モデルを作製し、虚血手術1週間後、解剖により脳組織を得て各種解析を行った。HMFおよびNGIはそれぞれ、9週齢から13週齢まで混餌投与を行った。脳海馬において、炎症性サイトカインとして機能するHMGB1と神経栄養因子の1つである脳由来神経栄養因子(BDNF)について調べたところ、WKY群(対照)と比較してSHRSP群ではHMGB1の発現量が有意に増加し、HMF群およびNGI群ではその増加を有意に抑制していた。また、WKY群と比較してSHRSP群ではBDNFの発現量が有意に減少したが、HMF群ではその減少を有意に抑制していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの検討で、当該モデルの脳内における2種類のマーカーの変化について明らかにすることができた。現在はこれらのマーカーの上流に存在する細胞内シグナルの変化についても調べている。
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今後の研究の推進方策 |
これまではSHRSPの一過性全脳虚血手術モデルを用いて、HMFおよびNGIの作用について調べてきたが、食塩を飲料水に加えたものをSHRSPに与えると脳卒中を発症することから、このモデルを用いてHMFおよびNGIの効果を検討していく。
現在ダブルコンジェニックラットの繁殖を行っているため、必要な数のラットを揃えて、今年度はダブルコンジェニックラットを用いた検討も行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
SHRSPを購入して行う実験の条件設定とスケジュール調整が、年度内に間に合わなかったため。
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