研究課題/領域番号 |
20K11528
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
渡辺 陽介 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (90535551)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | S-グルタチオン化 / グルタレドキシン / レドックス / 肥満 / 脂肪合成 / C/EBPb / PIAS1 |
研究実績の概要 |
3T3L1細胞を用いて、脂肪合成に関わるC/EBPbのS-グルタチオン化が脂肪合成に関わるか検討した。3T3L1細胞においてCRISPR/Cas9システムを用いて脱グルタチオン化酵素であるグルタレドキシンをノックアウトした。グルタレドキシンノックアウト3T3L1細胞では脂肪合成誘導によるS-グルタチオン化の増加および脂肪合成の促進が認められた。またグルタレドキシンノックアウト3T3L1細胞では、脂肪合成に関わる転写因子であるC/EBPbの増加が認めれた。これらの反応はアデノウイルスによるグルタレドキシンの再導入で消失することが確認できた。C/EBPbはSUMO化に引き続くユビキチン、プロテアソームシステムにより分解されるが、これはSUMO E3 LigaseであるPIAS1がC/EBPbに結合することから起こる。C/EBPbをS-グルタチオン化するとPIAS1の結合が低下することが確認できた。C/EBPbのLIPドメインにPIAS1が結合することを解明した。LIPドメインにはCys201とCys296のシステインがあるが、質量解析によりこれらのシステインはS-グルタチオン化することが分かった。これら二つのシステインをセリンに変換した変異型C/EBPbはS-グルタチオン化によるPIAS1の結合低下がないことが分かった。Cys201とCys296のS-グルタチオン化はPIAS1の結合を阻害しC/EBPbのユビキチンプロテアソームによる分解を阻害し、脂肪合成を促進することが考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
C/EBPbの質量解析、変異型C/EBPb蛋白の解析は順調であり、予想以上おおむね順調に研究は進行している。
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今後の研究の推進方策 |
臨床検体を用いて、S-グルタチオン化およびグルタレドキシンが肥満に関わっているか検討していく。
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