研究実績の概要 |
嚥下において重要な役割を果たす舌の機能を評価する指標のひとつとして、舌圧がある。しかし、これまでの研究において舌圧と嚥下調整食の物性の関連性を示すには至っていない。本研究では、舌圧と舌でつぶせる食品のかたさの関係を示すため、どの程度の舌圧でどのくらいのかたさの食品がつぶせるのかを検証することを目的とした。 まずはじめに、応力値と舌圧値の関係を解析した。クリープメータ(山電社製 RE2-3305B)で測定歪率を16段階(10~85%)に変化させ、舌圧測定器(TPM-01,株式会社ジェイ・エム・エス)のプローブ部分を加圧し、両者の関係性について検討した。その結果、測定歪率が大きくなると、かたさ応力および舌圧測定器の圧力はいずれも増加し(ともにr=0.999, p<0.01)、回帰式が得られた。そこで、機械が舌圧プローブを圧縮する応力と同じ舌圧で圧縮すると、回帰式から得られるかたさの食品を押しつぶし可能なのではないかという仮説を 立てた。このことを検証するため、官能評価に用いる試料の選定を行った。テクスチャーの異なる試料を作製するため、2種類のゲル化剤を用い、作製するゼリーのかたさが60,000 N/m2,80,000 N/m2,100,000 N/m2,120,000 N/m2程度となるようにゲル化剤の添加量を決定した。各かたさにおいて、異なるゲル化剤の試料の間にかたさ応力の差は見られなかったが、凝集性、付着性については差が見られた(p<0.05)。次年度は、この8種類の試料を用いて官能評価を行うこととした。
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