研究課題/領域番号 |
20K11536
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
比企 誠 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70643691)
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研究分担者 |
宮崎 哲朗 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30600473)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 虚血性心疾患 / 画像診断 / MRI / 冠動脈CT / 脂肪酸 |
研究実績の概要 |
虚血性心疾患では心筋内脂肪酸代謝が低下、また脂肪酸代謝低下と心室壁運動低下は関連する。本研究の目的は、虚血性心疾患における虚血再灌流療法と心筋脂肪酸代謝の関連を、非侵襲的心筋内中性脂肪(TG)量測定法である1H-magnetic resonance spectroscopy (MRS)法を用いて検討する。さらには、本研究では、多施設前向き介入研究により「食事、脂肪酸摂取による心筋内TG量への影響を基礎的・臨床的に検証し、脂肪酸代謝が低下した心筋に対する食事プログラムを含む 有効な介入法を確立」することを目的とする。本研究で得られた新たなかつ効果的な治療法は、国民健康の維持増進、および心筋脂肪酸代謝をターゲットとした創薬等の医療技術の向上にも貢献すると考えられる。 本年度はコロナ禍もあり患者リクルートに難渋したとの現状がある。その中でも,冠動脈血流予備量比が、冠動脈狭窄度と独立してcomputational fluid dynamics (CFD)法で求められた渦度と関連すること(Coronary flow disturbance assessed by vorticity as a cause of functionally significant stenosis. Eur Radiol 2022;32:6859-6867)、冠動脈CTを用いた有意狭窄病変の新たな検出法について(Feasibility of CT angiography-derived kinetic energy of coronary flow to improve the detection of hemodynamically significant coronary stenosis. Radiol Cardiothorac Imaging 2022;4:e220147) 、MRIを用いて不安定プラークを描出する撮像法についての論文報告(Relationship between coronary high-intensity plaques on T1-weighted imaging by cardiovascular magnetic resonance and vulnerable plaque features by near-infrared spectroscopy and intravascular ultrasound: a prospective cohort study. J Cardiovasc Magn Reson 2023;25:4)等を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請者らは2012年より関連施設を含む急性心血管疾患の前向きコホート作成を行っている。本年度は、虚血性心疾患患者において血中および赤血球膜中脂肪酸プロファイルを測定、心筋内TG量測定、BMIPPを用いた脂肪酸代謝評価を施行し、食事摂取調査、糖質・脂質関連指標、心機能、運動耐用能との関連の横断的に解析を行っており、引き続き症例数を増やし検討を継続する。 また左前下降枝病変を持つ虚血性心疾患患者を対象に経皮的血行再建術(虚血再灌流療法)を施行、前後で脂肪酸、および心筋内TG量を測定し、血流ならびに心室壁運動改善との関連を評価も行う研究においては、コロナ禍でもあり患者リクルートに難渋しているのが現状である。その中でも中性脂肪蓄積型心筋症患者における心筋内の高度中性脂肪蓄積をMRS法を用いて示し報告を行っており、MRS法を用いた心筋内中性脂肪測定に関しては一定の質を持って継続している状況である。さらに、MRI、冠動脈CTを用いた様々な虚血性心疾患に関する解析法の開発も同時に行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、多施設共同研究により、虚血性心疾患患者に対し魚食を中心とした食生活指導、およびEPA・DHA摂取による介入を行い、脂肪酸プロファイル、および心筋内TG量の変化と介入効果を検証する。心筋脂肪酸代謝改善を介したに心機能改善に対する有効性の高い介入法(食事プログラム・脂肪酸摂取、血行再建術の適応)を確立し、虚血性心疾患患者に導入を試み中長期的な予後を検討する予定であるが、コロナ禍により前向き研究の進捗が停滞している状況である。その中で研究を遂行するために、介入のサロゲートマーカーの変更・緩和などで対応する予定である。 また、脂肪酸のみならず種々の栄養状態に対する介入による検討、MRI、冠動脈CTを用いた虚血性心疾患に関する新たな解析法の開発も同時に行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)当該年度に関しては、科学研究費の他に奨学寄付金を取得できたため、当初科学研究費から捻出する予定であった物品購入あてることが可能となった。 またコロナ禍のため、学会等への出張が減ったこともありその額に相当する繰越金が発生した。 (使用計画)物品費、人件費に関しては、研究協力を行う大学院生、スタッフのさらなる増員が決定したため、統計解析用PC、統計解析ソフトの追加購入を行い、データベース作成補助者に対する人件費に使用する予定である。旅費に関しては本年度も不透明ではあるが、米国心臓病学会、欧州心臓病学会に参加予定であり、その渡航費用に当てる予定である。
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