研究課題/領域番号 |
20K11539
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
暮地本 宙己 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60632841)
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研究分担者 |
谷端 淳 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (00508426)
韓 圭鎬 帯広畜産大学, グローバルアグロメディシン研究センター, 准教授 (50553450)
草刈 洋一郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (80338889)
立花 利公 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (80163476)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 胃 / 宇宙環境 / 電子顕微鏡 |
研究実績の概要 |
有人宇宙活動の本格化を迎え、ヒトが宇宙で生活する基盤構築の必要性が高まっている。本研究課題では、「微小重力下の食物の動態変化に対して、胃はその化学的および機械的消化をどのように適応させるのか」という問いを提示し、宇宙での「食」の基礎となる胃の消化機能が、微小重力下の食物動態変化に適応するメカニズム解明を目指す。 2020年度は、JAXAより提供された国際宇宙ステーションにて微小重力下で実際に飼育されたマウス胃組織についてEpon812樹脂(光顕および透過電顕用)包埋試料の作製と、オスミウム浸軟処理を実施して走査電顕試料を作製し、電顕検察のための準備を行なった。また実験群の胃組織における壁細胞に対する形態学的特徴や分布を把握するため、同組織を包埋したパラフィン試料から作製した4μ厚切片に対して、HE染色およびプロトンポンプ受容体などの標的分子に対する一次抗体を用いた蛍光免疫組織化学標識を実施したところ、地上および微小重力下など、異なる重力条件の実験群間で壁細胞の細胞質断面積が異なることが明らかとなった。これらは、宇宙滞在が胃の消化機能に影響を与えることを示唆する所見であり、宇宙における栄養生理学の基盤形成に役立つことが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
補助事業期間中の研究実施計画に記載している、JAXAより提供されたマウス実験系について、形態学的解析のための試料準備を着実に実施・進行しており、さらに組織化学および免疫組織化学実験については既に観察所見取得と解析を実施している。これらの所見の一部は、既に学会・講演会等で発表報告も行なっており、研究計画の全体としておおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画1年目で実施した形態学的解析試料について、研究計画2年目には特に、透過電顕および走査電顕を用いた観察・解析を遂行することで、微小重力などの重力条件の変化が、壁細胞をはじめとする胃組織構成細胞に与える形態学的基盤を構築する。これらを基礎として、重力条件の変化がクリティカルに作用する細胞内現象を予測し、関連する機能分子に対して遺伝子・蛋白発現解析を引き続いて実施し、さらに研究計画を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行による流通への影響により、初年度に予定していた形態学的解析等にかかる試薬・消耗品(固定剤や免疫組織化学用抗体、プラスチック製品を含む)の一部については、次年度に購入を持ち越した。また、予定していた学会参加・出張等についても延期となるなどがあり、次年度使用額が生じている。今後、コロナウイルス感染症流行状況の推移をみて、可能な限り速やかに必要物品を購入する計画である。
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