本研究では、老齢ラット腎近位尿細管にカルボニル化、AGE化、CML化された傷害アルブミン分子が蓄積することを見出した。この結果は、加齢で傷害アルブミン分子の分別・分解能が低下していることを示唆する。そこで異常タンパク質分解能を高める食餌制限を老齢ラットに実施した。アルブミン分解能および傷害アルブミン蓄積量に食餌制限の影響は認められなかった。一方、標識アルブミンのin vivoでの近位尿細管における取り込み量は食餌制限老齢で高まっていた。原尿に漏れ出た正常アルブミンの再吸収の活性化がアルブミン尿症改善に関わっている可能性があるが、傷害アルブミン分子の動向については今後解明すべき課題である。
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