最終年度に実施した研究の成果 味覚を支配するニューロンは膝神経節の他に、錐体神経節と節状神経節にも含まれている。膝神経節のレニン-アンジオテンシン系の特徴を明確にするため、錐体神経節と節状神経節でレニン-アンジオテンシン系構成要素(レニン、アンジオテンシノーゲン、アンジオテンシン変換酵素)およびアンジオテンシンⅡ受容体(1a型、1b型および2型受容体)の遺伝子の発現レベルを測定し、膝神経節のデータと比較した。膝神経節と錐体・節状神経節の間でアンジオテンシンⅡ受容体の遺伝子の発現比に有意差が認められた。三叉神経節には味覚以外の口腔感覚(触覚、圧覚、痛覚、温度感覚)を支配するニューロンが含まれている。味覚の神経節と味覚以外の口腔感覚の神経節のレニン-アンジオテンシン系の違いを明らかにするため、三叉神経節でレニン-アンジオテンシン系構成要素およびアンジオテンシンⅡ受容体の遺伝子の発現レベルを測定し、膝神経節のデータと比較した。膝神経節と三叉神経節の間ではレニン-アンジオテンシン系構成要素の遺伝子とアンジオテンシンⅡ受容体の遺伝子の両方について発現比に有意差が認められた。
研究期間全体を通じて実施した研究の成果 膝神経節のレニン-アンジオテンシン系構成要素およびアンジオテンシンⅡ受容体の遺伝子の発現レベルは成長に伴って変化することが明らかとなった。成体ラットで発現レベルが糖尿病により変化することが明らかとなったが、多くの場合、成体ラットで発現レベルは環境の変化に対して安定であることも明らかになった。膝神経節以外の感覚神経節でもレニン-アンジオテンシン系構成要素およびアンジオテンシンⅡ受容体の遺伝子の発現が明らかになったが、味覚の神経節である膝神経節と味覚以外の口腔感覚の神経節である三叉神経節の間にはこれらの遺伝子の発現比に違いがあることが明らかになった。
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