研究課題/領域番号 |
20K11546
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
木村 雅友 近畿大学, 医学部, 准教授 (80247973)
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研究分担者 |
井上 敬夫 近畿大学, 医学部, 助教 (00441006)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | サルコペニア |
研究実績の概要 |
超高齢化社会に突入したことで様々な問題に直面している。その1つは「平均寿命」と「健康寿命」の間に10年前後の開きがあることである。介護を必要とせず生活ができる健康寿命の延伸は高齢者自身の生活の質(QOL)の向上だけでなく、介護を担う家族のQOL向上にも繋がる。この問題を解決するための手段の1つは、老化により骨格筋の衰えが生じる「サルコペニア」に対する治療であるが、現在のところ栄養療法と運動療法しか存在しない。しかしながら、運動がままならない状況にあって期待通りの効果を上げることができない場合も多い。更に骨格筋量の維持は、運動機能の保持だけでなく、身体の恒常性に重要な役割を果たすことが知られている。そのため、サルコペニア等による骨格筋量の減少は、単に運動機能の低下のみならず、健康寿命の短縮にも繋がってしまう。本研究ではこの問題に対して、骨格筋の萎縮に関与する標的分子に対する抗体及び化合物の作用により標的分子の機能阻害を行うことで、積極的に骨格筋量の減少を阻止することが目的である。今年度は標的分子の細胞外ドメインに対してペプチドを設計し、マウスに免疫を行った。その結果、設計ペプチドに対する抗体価が上昇したため、脾細胞とミエローマ細胞を融合したハイブリドーマを作製した。現在、ハイブリドーマ由来の抗体を評価中である。一方、化合物に関しては、大量の化合物ライブラリーからのハイスループットな検出方法が必要である。そのため、標的分子のシグナルカスケードを対象とした最適な条件検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
標的タンパク質に対する抗体作製に関しては、現在ハイブリドーマからの分泌抗体による評価を行っており、「おおむね計画通りに進行している」と評価できる。一方、化合物の探索に関しては、当初予定していた標的タンパク質の発現レベルで評価する方法では、評価が難しいことが判明したため、リガンドと標的タンパク質の結合によるシグナル活性化を検出するというより効果的な方法に変更し、その検出方法の検討を行った。そのため、当初の計画よりやや遅れている。総合的な評価として「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
抗体作製に関しては予定通りに評価が済み次第、動物への投与を開始していく。 化合物探索は、系の確立ができればハイスループットで行うことができるため、遅れを取り戻せると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
化合物スクリーニングの実験に関して遅れが生じたため、当初予定していた化合物のスクリーニングにかかる費用が残額として生じた。この残額分は次年度にスクリーニングにかかる費用として使用予定である。
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